このページでは様々な時宜に即した「今日の宇宙(Space of the Day)」をご紹介しています。
掲載期間は約一か月。土曜日・日曜日・祝日は「肩の凝らない」記事を選んでいます。

 7月1日(火)
我々のダイナミックな太陽を探検しよう!

<イメージの説明>: NASAのソーラーダイナミクス天文台(SDO)からの太陽のイメージは、可視光スペクトルの黒点を含む、太陽のさまざまな特徴を示している。
フィラメントとプロミネンスが、水素アルファ、X線でのコロナ質量放出、紫外線で詳細に見ることができる。バナーの右側には、国際宇宙ステーションが地球で観測したオーロラと、ハッブル宇宙望遠鏡やジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が観測した他の惑星のオーロラが描かれている。---拡大版とそのリンクは下部参照。

NASAの太陽圏教育活性化チーム(Heliophysics Education Activation Team)と太平洋天文社会(Astronomical Society of the Pacific)のプログラムの協働であるこのリソースは、非公式の教育者、アマチュア天文学者、天文学愛好家向けに開発され、最も近い星についてもっと学びたいと思っているすべての人に魅力的なアクティビティを提供している。

このツールキットは、好奇心を刺激するように設計された使いやすい素材を提供している。セットの各カードは、NASAのイメージと各トピックの明確な説明を組み合わせている。

・「太陽は何色?」---ヒント:黄色ではない!
・「太陽は地球上の我々にどのような影響を与えている!」
・「太陽はいつ死ぬの?」

これらのカードは、一般の人々が抱く一般的な質問に答えるだけでなく、NASA の太陽研究が、宇宙の気象、太陽嵐、およびそれらが私たちの日常生活に与える影響を理解するのにどのように役立つかを強調している。

太陽の物語をあなたのコミュニティに伝え、次世代の探検家達にインスピレーションを与えよう。この無料の「我々のダイナミックな太陽(Our Dynamic Sun)」ツールキットは、 こちら からダウンロードできる。

<ひとこと>: イメージは幅約5000ピクセルの非常に大型なので、下のイメージのリンク先は約半分に縮小しています。左上のイメージのリンク先は元サイズです。

大雑把な概要:

  1. 中央:太陽と比較した地球の大きさ
  2. 右側:太陽風による太陽系惑星のそれぞれのオーロラ
  3. 左側、真上:太陽表面の素材を表すX線イメージ(赤)
  4. 以下時計周りに:コロナ質量放出を示すX線イメージ(緑)
  5. 太陽表面最大の磁気活動(灰色)
  6. 可視光線望遠鏡のやや冷たい黒点(黄)
  7. 水素アルファの示す、黒点の周囲にみられる太陽面の光輝域(plage)、フィラメント、プロミネンス(赤)
  8. 太陽風の高速(濃い領域)と低速を示す極紫外線(青)

<出典>: Kat Troche(著者名です)

 6月30日(月)
太陽軌道船が太陽の南極にズームイン

地球から見ると、我々は常に太陽の赤道を見つめている。今年、ヨーロッパ宇宙機関主導の太陽軌道船(Solar Orbiter)ミッションは、軌道を17°に傾けることによって、この「標準的な」視点から脱却した。これは、地球や他のすべての太陽観測宇宙船が存在する黄道面から外れている。今、我々は、初めて、太陽の未踏の極をはっきりと見ることができる。

このビデオは、地球から見た太陽から始まる。灰色のイメージは、ヨーロッパ宇宙機関のProba-2宇宙船のSWAP極紫外線望遠鏡によって撮影された。赤緑の破線は太陽の緯度と経度(ストーニーハーストグリッド:Stonyhurst grid)を示し、黄色の実線は地球の視野の中心を示している。

次に、軌道船の傾いた視界(黄色で示されている)に回転し、太陽の南極にズームインする。軌道船は、極紫外線画像(EUI)装置を使って、これらのイメージを撮影した。

ここに見ているのは、太陽の外側の大気、コロナの中を移動している100万度の荷電したガスである。時々、明るいジェットやプルーム(噴煙)がこのガスを照らす。

2025年3月23日、軌道船は太陽の赤道から17°の角度から太陽を見ていた。太陽の周りを周回するたびに、この探査機は太陽緯度-17°から+17°の間を揺れ動くことによって、太陽の南極と北極の両方、そしてその間のすべてを調査することができる。

太陽軌道船は、ヨーロッパ宇宙機関とNASAの国際協力による宇宙ミッションである。極紫外線画像(EUI)装置は、ベルギー王立天文台(ROB)が主導している。ヨーロッパ宇宙機関のProba-2は、革新的な技術の実証に特化した宇宙ミッションである。その極紫外線望遠鏡(SWAP)は、ベルギー王立天文台が主導している。

<ひとこと>: イメージのリンク先は動画 .mp4 です。

<出典>: Space Science(ESA)

 6月29日(日)
アンドロメダ銀河(その2)
(スパークするアンドロメダ)

2025年6月25日に公開されたこのイメージでは、メシエ31(M31)としても知られるアンドロメダ銀河が、天文学者ベラ・ルービン博士の画期的な遺産に敬意を表して、きらびやかに輝いている。

1960年代、ルービンと彼女の同僚はM31を研究し、銀河とその渦巻の腕の回転の仕方に影響を与えている、目に見えない物質が銀河にあることを突き止めた。

この未知の物質は「ダークマター」と名付けられた。

M31は、ミルキーウェイ銀河と約250万光年の距離にある渦巻銀河である。

天文学者達は、我々自身の渦巻きの構造と進化を理解するためにアンドロメダを使っているが、地球はミルキーウェイ銀河の中に埋め込まれているために、その構造を理解することが難しい。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Lee Mohon(著者名です)

 6月28日(土)
アンドロメダ銀河(その1)
(フライ・アイから見たアンドロメダ銀河)

ヨーロッパ宇宙機関のフライ・アイ(Flyeye)望遠鏡を使用して行われた、隣接する銀河、アンドロメダの観測。

アンドロメダは地球の空に非常に大きく見えるために、大きさでは満月の直径の6倍にもなり、暗い空でも肉眼で見ることができる。

NASAとヨーロッパ宇宙機関のハッブル宇宙望遠鏡のような専用の天体望遠鏡の場合、アンドロメダ銀河全体を見るには、何百もの個々の観測をつなぎ合わせる必要がある。例えば、このハッブル宇宙望遠鏡のアンドロメダのイメージは、10年以上の歳月と600枚のスナップショットを撮った。

一方、フライ・アイは、一度にできるだけ多くの空を見て、新しい地球近傍天体を迅速にスキャンするように設計された調査望遠鏡である。このアンドロメダのイメージは、望遠鏡の全視野の16分の1しか占めていない。

このイメージは、望遠鏡の「ファーストライト」キャンペーン中で、それぞれ30秒の、16回の露出を組み合わせて取得された。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Flyeye telescopes

 6月27日(金)
NASAの科学者達、地球の酸素と磁場の関係を発見

<イメージの説明>: 太陽風は地球の磁場の周りを流れる。NASAの新しい研究は、大気中の酸素の量と磁場の強さが、5億年以上にわたって相関していることを示唆している。

NASAの科学者達の分析によれば、5億4000万年の間、地球の磁場の強さの増減が大気中の酸素の変動と相関してきたことが新たに発表された。この研究は、地球の深部にあるプロセスが、地球の表面の居住可能性に影響を与える可能性があることを示唆している。

地球の磁場は、惑星の溶融内部の物質の流れから発生し、巨大な電磁石のように機能する。流れは完全には安定していないので、磁場は時間とともに変化する。多くの科学者達は、太陽から来る高エネルギー粒子によって大気が侵食されるのを防ぐためには磁場が重要である、と主張している。しかし、Science Advances誌に掲載された研究の著者は、大気の保存における磁場の役割は活発な研究分野であると指摘している。この研究の著者達は、磁場と酸素レベルとの間の因果関係の複雑さに取り組む前に、地球の磁場と大気が、関連性を示す方法で、変動しているかどうかを確認することを決めた。

地球の磁場の歴史は磁化された鉱物に記録されている。マグマとともに上昇する高温の鉱物は、広がる構造プレート(tectonic plate)の隙間で冷えると、周囲の磁場を記録することがある。鉱物は、再加熱が厳しすぎない限り、フィールドの記録を保持する。科学者達は、酸素の化学的含有量は、それらが形成されたときに利用可能な量に依存することから、古代の岩石や鉱物から歴史的な酸素レベルを推測することができる。地球の磁場と酸素の二つのデータは、無数の地球物理学者達や地球化学者達がまとめたデータベースで、同等の範囲に広がっている。この新しい研究の著者達は、これまでに、これらの記録の詳細な比較を行った科学者がいなかったと述べている。

--- 以下略。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: James Riordon(著者名です)

 6月26日(木)
遠い外へ

Pismis 24は、地球から約8,000光年にあるNGC 6357と呼ばれるはるかに大きな放射星雲の中にある。

写真の中で最も明るい天体は、かつては200〜300太陽質量という信じられないほど大きな質量を持つ単一の星であると考えられていた。それは、この銀河システムで知られている星の中で群を抜いて最も重い星となり、現在個々の恒星に関して考えられている質量の上限である約150太陽質量を大幅に超えるものになっていた。

しかし、NASAのハッブル宇宙望遠鏡による測定では、Pismis 24-1 は、実際には、二つの別々の星であり、そうすることで、それらの質量がそれぞれ約100〜150太陽質量に「半分」であったことがわかった。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Monika Luabeya(著者名です)

 6月25日(水)
Ready-to-Use データ、北米全体の陸地の動きを詳細に示す

ひとつのオンラインツールが測定値をマッピングし、専門家でなくても地震、地盤沈下、地滑り、その他の種類の地動を理解できる。

NASAは、フェアバンクスのアラスカ衛星施設と協力して、北米全体の陸地の動きを1インチ未満まで表示する強力なWebベースのツールを作成している。オンラインポータルとその基盤となるデータセットは、地震、火山、地滑り、地下水などの地下自然資源の抽出など、足元の土地がどこでどれだけ移動しているかを誰もが特定するのに役立つ衛星レーダー測定の宝庫を解く。

ジェット推進研究所の OPERA (Remote Sensing Analysis) プロジェクトから Observational Products for End-Users が主導するこの取り組みは、他の方法では作成に何年ものトレーニングが必要な情報をユーザーに提供できる。このプロジェクトは、衛星搭載の合成開口レーダー(SAR)からの測定に基づいて構築されており、地球の表面がどのように動いているかについての高解像度データを生成する。

正式には北米地表変位製品スイートと呼ばれているこの新しいデータセットは、2016年までの測定値ですぐに使用でき、ポータルでは、ユーザーがこれらの測定値を、ローカル、州、および地域のスケールで数秒で表示できる。データセットや Web サイトを使用していない人は、同様の分析を行うのに数日以上かかる可能性がある。

オンラインツールは測定値をマッピングし、専門家でなくても地震、地盤沈下、地滑り、およびその他の種類の地動を理解できる。

--- 以下略。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Jet Propulsion Laboratory

 6月24日(火)
NASAのCODEX、太陽の外部大気のユニークな景色を捉える

<イメージの説明>: NASAのCODEX装置によって導入された新技術のおかげで、科学者達は、初めて、太陽の外部大気の温度変化を観察できるようになった。このアニメーション化された色分けされたヒートマップは数日間の気温の変化を示しており、赤は暑い地域、紫は寒い地域を示している。

キーポイント:

  1.  NASAのCODEX調査では、太陽の外側の大気であるコロナのイメージが撮影され、その突風で不均一な流れの新たな側面が明らかになった。  
  2.  国際宇宙ステーションに設置されたCODEX機器は、コロナグラフ(物理ディスクで人工日食を作り出す科学ツール)で、特殊なフィルターを使用して太陽風の速度と温度を測定する。  
  3.  これらの世界初の測定は、科学者が宇宙天気のモデルを改善し、太陽が地球に与える影響をよりよく理解するのに役立つ。

NASAのCODEX(コロナ診断実験)調査(NASA’s CODEX ー Coronal Diagnostic Experiment ー investigation)のデータを分析している科学者達は、この装置の初めてのイメージの評価に成功し、太陽から流出する物質の速度と温度を明らかにした。火曜日にアラスカ州アンカレッジで開催されたアメリカ天文学会の記者会見で共有されたこれらのイメージは、太陽の外側の大気(またはコロナ)が、物質の均質で安定した流れではなく、高温のプラズマのスパッタリング突風のある領域であることを示している。これらのイメージは、科学者達が、太陽が地球や宇宙の技術にどのような影響を与えるかについての理解を深めるのに役立つ。

<左のイメージの説明>: 太陽は太陽風の形で物質を絶えず放射している。太陽の磁場がこの物質を形作り、時にはコロナルストリーマーと呼ばれる流れる光線のような形成物を作り出す。NASAのCODEX機器からのこの視界では、大きな暗いスポットが太陽からの明るい光の多くを遮っています。この光の遮断で、その敏感な装置は、太陽の外側の大気のかすかな光を捉えることができる。

  

<右下のイメージの説明>: NASAのミッションでは、コロナグラフを使用してさまざまな方法で太陽を調査しているが、全てが同じものを見ているわけではない。NASAとESAの太陽天文台と太陽圏天文台(SOHO)の共同ミッションのコロナグラフは、太陽コロナからの可視光を広い視野と小さな視野の両方で見ている。CODEX機器の視野は中間のどこかにあるが、背景の太陽風の温度と速度の変化を理解するために青色光を見ている。

この重なり合う太陽観測の合成イメージでは、中央と左のパネルは、オーバーレイで異なるコロナグラフの視野範囲を示し、太陽半径の観測範囲でラベル付けされている。3 番目のパネルは、大きな CODEX イメージのズームインされ色分けされた部分を示している。これは、CODEX 405.0および393.5nmフィルターを使用して、太陽コロナのその部分の温度比を強調している。

これらの新しい測定によって、科学者達は、太陽風の源のエネルギーをより適切に特徴付けることができる。

CODEX装置は、4つの狭帯域フィルタ(温度用に2つ、速度用に2つ)を使って太陽風のデータを取得する。これらの各フィルターの画像の明るさを比較することで、コロナ太陽風の温度と速度を知ることができる。

太陽風の速度と温度を理解することは、科学者達が、太陽の振る舞いをモデル化および予測するために必要な、より正確な太陽のイメージを作るのに役立つ。

<ひとこと>: 一部省略。大判はイメージのリンクから。

<出典>: NASA Science Editorial Team

 6月23日(月)
強いフレアが太陽から噴出

太陽は強い太陽フレアを放出し、東部標準時6月19日午後7時50分(日本時間6月20日曜日午前9時50分)にピークに達した。太陽を常に監視しているNASAのソーラーダイナミクス天文台(SDO)は、この出来事のイメージを撮った。

このフレアはX1.9フレアに分類される。Xクラスは最も強いフレアを示し、数字はその強度についてより多くの情報を提供する。

このような宇宙の気象が地球にどのような影響を与えるかについては、米国政府の公式ソースである NOAAのSpace Weather Prediction Center の(宇宙天気予報、監視、警告、警報)を参照。

<ひとこと>: 以上、要点のみ。前回の爆発は6月19日の記事参照。

<出典>: Sarah Frazier(著者名です)

 6月22日(日)
月偵察軌道船、アイスペースのハクト2月面着陸船の衝突現場を視る

<左のイメージの説明>: 2025年6月11日、NASAの月面偵察軌道船のカメラ(LROC)で撮影されたレジリエンスの月着陸船の衝突地点。着陸船は、微妙な明るいハローに囲まれた暗い汚れをつくり出した。

 

6月11日、NASAの月偵察軌道船(LRO:Lunar Reconnaissance Orbiter)は、2025年6月5日(UTC)に月着陸船「ispace Mission 2 SMBC x HAKUTO-R Venture Moon(RESILIENCE)」がハードランディングを行った場所を撮影した。

レジリエンスは、1月15日に、(注:日本が主体の)民間資金による宇宙船で打上げられた。

軌道船の右の狭角カメラは、しわの尾根( wrinkle ridges)として知られる大規模な断層が点在する火山地域であるメア・フリゴリス(Mare Frigoris)の表面から約50マイル上空からこのイメージを捉えた。

写真の矢印の上に見える暗い汚れは、その着陸船が表面に衝突し、月の「土壌」を構成する岩石とダスト、レゴリスを蹴り上げたときに形成された。この部分を囲むかすかな明るいハローは、繊細な表面を洗い流す低角度のレゴリス粒子に起因している。

 

<右のイメージの説明>: このアニメーションは、レジリエンスの衝突前・後のサイトを示している。イメージは北が上。西から東、または左から右を見る写真のエリアは2マイル(3.2キロメートル)をカバーしている。

 

<ひとこと>: それぞれの大判はイメージをクリック(タップ)。

月偵察軌道船(ルナ・リコネッサンス・オービター)は、2009年6月18日に打上げられた、NASAの、現在も活躍中の軌道船です。

<出典>: Goddard Digital Team

 6月21日(土)
パーサビアランス、インジェニュイティと自画像を撮る

火星日46(2021年4月6日)、火星探査ローバーパーサビアランスは、火星で初めての自撮りをするためにロボットアームを差し出した。

そのアームの先端にあるワトソン(WATSON)カメラは、火星の岩石やその表面のディテールをクローズアップするように設計された。

最終的には、チームワークと火星時間での数週間、パーサビアランスとその周辺を含む複雑な一連の露出とカメラの動きを計画する必要があった。

その結果、62のフレームが詳細な合成に構成され、これまでに撮影された火星探査車の自画像の中で最も複雑なものの1つとなった。

このバージョンの自画像では、ローバーのマストカメラZおよびスーパーカメラ(SuperCam)装置が、ワトソンとローバーの、伸ばした腕の先を見えている。

パーサビアランスから約4メートルのところに、このロボットの仲間であるマーズ・インジェニュイティ・ヘリコプターがある。

パーサヴィアランスは、これまでに、火星日1,500日以上を費やして火星の地表を探索してきた。

インジェニュイティは、地球の日付である2024年1月18日に、火星の薄い大気中を72回目かつ最後の飛行を行った。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

 6月20日(金)
「今日の天文写真」、30年目を迎える

今日(2025年6月16日)、「今日の天文写真」(APOD:Astronomy Picture of the Day)は、30年目を迎えた。

今日の写真(左)は、過去のAPODをタイルとして配置し、地球の夜空を最もよく知らしめ、心を揺さぶる描写の一つを思い出させるような、一つのピクセル化された画像を作り出している。実際に、この星月夜は、過去5年間にAPODに投稿された1,836枚の個々の画像が、32,232枚のタイルのモザイクで構成されている。

今日、APODは、寄稿者、ボランティア、読者の皆様に心から感謝申し上げる。

過去30年間、皆様の継続的な努力により、我々は宇宙の発見を楽しみ、刺激し、共有することができた。

<ひとこと>: 「今日の天文写真」(APOD)は、このコーナーでもしばしば引用しているサイトです。(ただし、著作権保護の指定のある記事及びその疑いにある記事は避けています。)

解説にはありませんが、このイメージは、ゴッホの「星の夜:Starry Night」(右図)を模倣して描かれたものです。それぞれの大判はイメージのリンク先からご覧ください。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

 6月19日(木)
太陽、強いフレアを放出

太陽は強い火炎を放出し、東部標準時2025年6月17日(火)午後5時49分(日本時間6月18日水曜日午前7時49分)にピークに達した。太陽を常に監視しているNASAのソーラーダイナミクス天文台(SDO)はこの出来事のイメージを撮った。

太陽フレアは、強力なエネルギーの爆発である。無線通信、電力網、航法信号に影響を与え、宇宙船や宇宙飛行士にリスクをもたらす可能性がある。

このフレアは X1.2 に分類される。Xクラスは最も強いフレアを示し、数字はその強度についてより多くの情報を提供する。

このような宇宙の気象が地球にどのような影響を与えるかについては、米国政府の公式のソース、NOAAの 宇宙気象予報センタ(Space Weather Prediction Center) から。NASAは、米国の宇宙天気への取り組みの研究部門として活動している。

<ひとこと>: 大判はイメージをクリック(タップ)。

<出典>: Miles Hatfield(著者名です)

 6月18日(水)
NASAのPACE、植物の健康に関する年間の地上データを明らかに

<イメージの説明>: 研究者達は、葉の色のわずかな変化を検出することによって、陸生植物の健康状態に関する年間のデータを収集している。これまでのミッションでは、植物に緑色を与え、光合成を可能にする色素であるクロロフィルの広範な変化を観察することができた。しかし、PACEによって、科学者達は、植物中の3つの異なる色素、クロロフィル、アントシアニン、カロテノイドを見ることができるようになった。これら3つの色素の組み合わせによって、科学者達は、植物の健康について、更に多くの情報を特定することができる。

 

春や雨季には新たな成長がもたらされる一方で、気温の低下や乾燥した天候では緑色が枯れてしまうために、地球の森林や植生は1年で多くの変化を遂げる。今、NASAの新しいタイプの視覚化が、宇宙から見た色の完全な補完物でこれらの変化を示している。

NASAのプランクトン、エアロゾル、雲、海洋生態系(PACE)衛星は、地球の微細な海洋植物を新しいレンズで見るように設計されているが、研究者達は、陸上でも高度なスペクトルの使用を証明している。

これまでのミッションでは、植物に緑色を与え、光合成を可能にする色素であるクロロフィルの広範な変化が測定された。今回、PACEの測定によって、NASAの科学者達や視覚研究者達は、クロロフィル、アントシアニン、カロテノイドの3つの色素を使って、全球の植生データを1年間表示することが初めて可能になった。このマルチカラー画像は、葉の色の最小の変動を検出することで、陸生植物の健康状態についてより明確なストーリーを伝えている。

--- 以下略。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。右のイメージのリンク先は動画 Youtube です。

<出典>: Erica McNamee(著者名です)

 6月17日(火)

<前書き>:溜まっている記事のいくつかをまとめて掲載します。今日は「銀河」に関する記事を取り上げます。それぞれ独立した別の記事であることをお含みおきください。

<その1>:美しいピンク

メシエ81(M81)として知られる渦巻銀河が、NASAのスピッツァー宇宙望遠鏡、ハッブル宇宙望遠鏡、およびNASAの銀河進化探査機(Galaxy Evolution Explorer)からのデータを組み込んだこの2007年6月1日の合成画像で、バラ色に染まっている。

1774年にドイツの天文学者ヨハン・エラート・ボーデによって発見されたこのM81は、夜空で最も明るい銀河の1つである。地球から1160万光年のおおぐま座に位置している。

銀河の渦巻の腕は、その核まで曲がりくねっており、過去数百万年の間に形成された若い青みがかった熱い星で構成されている。それらはまた、約6億年前に始まった星形成のエピソードで形成された星の集団を宿している。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Monika Luabeya(著者名です)

 

<その2>:メシェ101

この大きく美しい渦巻銀河M101は、シャルル・メシエの有名なカタログの最後のエントリの1つであるが、間違いなく最も小さいものではない。

直径約17万光年のこの銀河は巨大であり、ミルキウェイ銀河の約2倍の大きさである。

M101は、ローズ卿の19世紀の大型望遠鏡であるパーソン・タウンのリヴァイアサンによって観測された最初の渦巻星雲の1つでもあった。

地上の望遠鏡からの追加のデータとともに、20世紀と21世紀にハッブル宇宙望遠鏡によって記録された51回の露出から組み立てられたこの合成は、これまでにハッブルから公表された最高解像度の渦巻銀河の肖像画の1つであり、M101の中央領域を横断して約40,000光年に及んでいる。

この鮮明なイメージでは、銀河の星とダストのフェース・オンのディスクの見事な特徴と背景の銀河を示しており、一部はM101自体を通して見える。

かざぐるま銀河としても知られるM101はおおぐま座の北の方角にあり、約2500万光年離れている。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

  

<その3>:NGC 3344 に面する

ミルキーウェイ銀河の見晴らしの良い場所からは、NGC 3344 が正面から見える。直径約40,000光年、大きくて美しい渦巻銀河は、しし座から僅か2,000万光年離れた場所にある。

NGC 3344のこのマルチカラーのハッブル宇宙望遠鏡のクローズアップには、近赤外線から紫外線までの驚くべき詳細が含まれている。

このフレームは、螺旋の中央領域を横切って約15,000光年に伸びている。銀河の色は、中心にある古い星の黄色がかった光から、ゆるく断片化された渦巻の腕に沿って若く青い星団や赤みがかった星形成領域に変化する。

NGC 3344の前にある尖った外観の明るい星は、もちろん我々のミルキーウェイ銀河の中に横たわっている。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

 6月16日(月)

<前書き>:溜まっている記事のいくつかをまとめて掲載します。今日は「ブラックホール」に関する記事を取り上げます。それぞれが独立した別の記事であることをお含みおきください。

<その1>:超大質量ブラックホールのスピンアップ

ブラックホールはどのくらいの速さで回転できるのだろう? 通常の物質でできた物体が速く回転し過ぎると、それ自体がバラバラになる。

しかし、ブラックホールはバラバラにできないかも知れないし、その最大回転速度は分かっていない。

理論家達は、通常、アインシュタインの一般相対性理論に対する解を使って、急速に回転するブラックホールをモデル化し、いくつかの驚くべきことと珍しいことを予測する。

しかし、最も簡単に検証できる予測は、最大回転するブラックホールに入る物質は、恐らく、遠くから見た光速に近い速度で公転しているのが最後に見られるはずだということである。

この予測は、NASAのNuSTAR衛星とESAのXMM衛星によって、渦巻銀河NGC 1365の中心にある超大質量ブラックホールを観測することによってテストされた。

光速限界に近いことは、周囲の降着円盤の内側の端での、放出物の加熱とスペクトル線の広がりを測定することによって確認された。

ここに描かれているのは、ブラックホールの周りを渦巻く通常の物質の降着円盤を描いたアーティストのイラストであり、上部からジェットが発せられている。

ブラックホールにランダムに落下する物質は、ブラックホールをこれほど回転させるはずがないため、NuSTARとXMMの測定は、周囲の降着円盤の存在をも検証している。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

 

<その2>:連ったブラックホールの二重に歪んだ世界

ひとつのブラックホールが奇妙に見えるなら、二つのブラックホールはどうだろう?

この詳細なコンピュータの視覚化では、軌道を周回する一対の超大質量ブラックホールの周りの降着円盤からの光が、極端な重力によって生成された歪んだ時空を通り抜ける。

シミュレートされた降着円盤には、2億の太陽質量のブラックホールを囲む円盤を赤、1億の太陽質量のブラックホールを囲む円盤を青とする、異なる偽色の配色が与えられている。しかし、これらの質量の場合、両方の降着円盤は実際にはほとんどの光を紫外線で放出する。

このビデオでは、各ブラックホールの両側を同時に見ることができる。両方のブラックホールから発生する赤と青の光は、事象の地平線近くの光球と呼ばれる最も内側の光の輪に見ることができる。

過去10年間で、ブラックホールの衝突による重力波は実際に検出されているが、超大質量ブラックホールの合体はまだ発見されていない。

<ひとこと>: イメージのリンク先は動画 Youtube です。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

  

<その3>:ウェッブの渦巻銀河NGC 2566

渦巻銀河NGC 2566の中心では何が起こっているのだろう? 

最初に、注目の赤外線画像の中心から出ているように見える8本の光線は本物ではなく、ウェッブ宇宙望遠鏡自体の機械的構造によって引き起こされた回折スパイクである。

NGC 2566の中心部は、珍しいとは考えられない程度に明るいが、現在はあまり活動していないものの超大質量のブラックホールが含まれている可能性がある。

僅か7600万光年しか離れていない今日、NGC 2566から見える光は、恐竜が地球を歩き回っていたときに残された。

絵のように美しいこの銀河は、ウェッブやハッブルなどの地球の望遠鏡が、星が形成される可能性のあるガスとダストの乱流の雲を解読でき、星の進化の研究を可能にするほど近くにある。

NGC 2566は、ミルキウェイ銀河とサイズが似ており、中央の明るい棒と目立つ外側の渦巻きの腕が特徴である。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

 6月15日(日)
ハービック・ハロー24

これは双刃のライトセーバーのように見えるかもしれないが、実際には、この2つの宇宙のジェットは、近くの銀河の生まれたばかりの星から外に向かって放射されている。

ハッブル宇宙望遠鏡の画像データから構築されたこの見事なシーンは、約1,300光年または400パーセク離れたオリオンB分子雲複合体の恒星の苗床にあるハービック・ハロー24(Herbig-Haro 24:HH 24)を横断する約半光年にわたって広がっている。このHH 24の中心の原始星は、直視できないように隠されており、冷たいダストとガスが平らになって回転する降着円盤になっている。

円盤からの物質が若い恒星の天体に向かって落下すると熱くなる。対向するジェットがシステムの回転軸に沿って吹き出される。狭いエネルギーの強いジェットが、この域の星間物質を切り裂くように、その経路に沿って一連の輝く衝撃面をつくり出す。

<ひとこと>: “ハービック・ハロー(Herbig-Haro)”は こちら を参照。大判はイメージのリンクから。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

 6月14日(土)
真の色のエンケラドウス

土星の衛星エンケラドゥスの氷の下の海には生命がいるだろうか?  そう考える理由は、月の氷の内部から宇宙に氷を噴出していることが知られている長い亀裂 ---タイガー・ストライプ(トラの縞)と呼ばれる---に関係している。

これらの表面の亀裂は、月の南極に細かい氷の粒子の雲を作り、土星の神秘的なEリングを作り出している。

その証拠は、2004年から2017年にかけて土星を周回した、ロボット「カッシーニ」宇宙船によってもたらされた。

この写真では、エンケラドゥスの高解像度のイメージが、フライバイからのトルー・カラー(人間の目で見た色)で示されている。

深いクレバスが部分的に影になっている。

エンケラドゥスが何故活動しているのかは謎のままであり、隣の衛星ミマスはほぼ同じ大きさであるにも関わらず死んでいるように見える。
放出された氷の粒の分析によって、エンケラドゥスの内部に複雑な有機分子が存在するという証拠が得られている。

これらの大きな炭素に富んだ分子は、エンケラドゥスの表面の下の海に生命が生息している可能性があることを補強しているが、証明はしていない。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

 6月13日(金)
NASAのIXPE、初めてマグネター爆発のX線偏光測定を得る

<動画の説明>: 磁力線を示すマグネターの図解。マグネターは孤立した中性子星の一種。その磁場は、冷蔵庫の磁石の10兆倍、一般的な中性子星の1000倍も強力である。図は、天文学者達がマグネターの爆発を動力源としていると考えている巨大なエネルギーの貯蔵庫を表している。

宇宙で最も魅力的な物体が、太陽1,000個分の力でほんの数秒で輝くとどうなるだろう? NASAのIXPE(Imaging X-ray Polarimetry Explorer)は、イタリア宇宙機関と共同で行われたミッションのおかげで、科学者達はこの極端な現象の理解に一歩近づいた。

マグネター は若い中性子星の一種であり、大質量の星が寿命を迎えて崩壊し、太陽とほぼ同じ質量の密集した核のみが都市の大きさにまで押しつぶされたときに形成される恒星の残骸である。中性子星は、観測可能な宇宙で最も極端ないくつかの物理を示しており、地球上の実験室では再現できない条件を研究するユニークな機会を提供している。

マグネター1E 1841-045は、地球から約28,000光年離れた超新星爆発(SNR Kes 73)の残骸に位置し、2024年8月21日にNASAのスウィフト望遠鏡、フェルミ望遠鏡、NICER望遠鏡によって爆発状態にあることが観測された。

マグネターは、多くの中性子星よりも数千倍強い磁場を持ち、宇宙の既知の物体の中で最も強い磁場を持っている。その極端な磁場の乱れによって、マグネターは、数週間にわたって通常の最大1000倍のX線エネルギーを放出する可能性がある。この強化された状態はアウトバーストと呼ばれるが、その背後にあるメカニズムはまだよくわかっていない。

IXPEのX線偏光測定を通じて、科学者達は、これらの出来事の謎の解明に近づくことができるかも知れない。偏光は、放出されたX線光の波の向きと位置合わせに関する情報を運ぶ。偏光度が高ければ高いほど、X線波は同期して伝わる。マグネターの偏光特性を調べると、観測された光子を生成するエネルギープロセスや、マグネター磁場の方向と形状についての手がかりが明らかになる。

NASAのNuSTAR望遠鏡とNICER望遠鏡からの観測に支えられたIXPEの結果は、1E 1841-045からのX線放射が、同じ伝搬方向を維持しながら、より高いエネルギーレベルでより偏光することを示している。この高い分極度への大きな貢献は、IXPEによって観測される最高の光子エネルギーを支配する高エネルギー磁気圏成分である1E 1841-045の硬X線から来ている。「硬X線」とは、「軟X線」よりも波長が短く、エネルギーが高いX線を指す。マグネターでは一般的であるが、これらの高エネルギーX線光子の生成を駆動するメカニズムはまだほとんどわかっていない。この放出を説明するためにいくつかの理論が提起されているが、現在では、これらの硬X線に関連する高偏光が、その起源に関するさらなる手がかりを提供している。

--- 以下略。

<ひとこと>: イメージのリンク先は動画 .mp4 です。

<出典>: Beth Ridgeway(著者名です)

 6月12日(木)
M1:信じられないほど拡大するカニ

M1としてカタログ化されたかに星雲は、チャールズ・メシエの有名な彗星ではないもののリストの最初である。 実際に、かに星雲 は超新星の残骸であり、現在も拡大していることが知られている。

大質量の星の死の爆発による破片の雲の、このカニの激しい誕生は、1054年に、天文学者達によって目撃された。
(参考;その爆発は、中国の記録『宋史』『天文志』や日本の藤原定家の日記『明月記』にも記録が残っている。)

直径約10光年、この星雲はまだ秒速約1,500キロメートルの速度で膨張している。ハッブル宇宙望遠鏡とジェームズウェッブ宇宙望遠鏡によるこれらの鮮明なイメージを比較すると拡大が確認できる。

カニのダイナミックな断片化されたフィラメントは、2005年にハッブル宇宙望遠鏡による可視光線、2023年にウェッブ宇宙望遠鏡による赤外線の光で目に見える形で捉えられた。この宇宙の甲殻類はおうし座の約6,500光年にある。

2005年ハッブル宇宙望遠鏡(左)2023年ウェッブ宇宙望遠鏡(右)

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

 6月11日(水)

浸透する手がかり:NASA、惑星のコアを構築する新しい方法をモデル化

<イメージの説明>: NASAのパーサビアランス・ローバーは、古代の川、ネレトヴァ谷(Neretva Vallis)のチャネルを走行していたとき、「ブライト・エンジェル(Bright Angel)」と呼ばれる科学的関心の地域、図の右側に見える明るい色調のエリアのこの景色を捉えた。この地域には、後にチャネルを埋め尽くした古代の堆積物、または、その後川の浸食によって露出した、はるかに古い岩を表している可能性のある明るい色調の岩の露頭がある。

NASAの新しい研究は、惑星のコアが形成された可能性のある驚くべき方法を明らかにしている。これは、科学者達が、火星のような岩石惑星の初期の進化を、どのように理解するかを変える可能性がある。

ジョンソン宇宙センタの天体素材研究探査科学(ARES)部門の若手科学者と長年の研究者からなるチームによって実施されたこの研究では、金属ではなく溶融した硫化物が固体の岩石を透過してコアを形成することができるという初めての直接的な実験的および地球化学的証拠を提供している。

科学者達は、何十年もの間、コアを形成するには惑星体の大規模な融解が必要であり、その後に重金属の元素が中心に沈む必要があると考えていた。この研究は、特に太陽から遠くに形成される惑星、つまり硫黄と酸素が鉄よりも豊富に存在する惑星に関連する新しいシナリオを導入している。このような揮発性の高い環境では、硫黄は凍った道路の道路塩のように振る舞い、金属鉄と反応して硫化鉄を形成することで融点を下げ、移動してコアに結合する。これまで、科学者達は、現実的な惑星形成条件下で硫化物が固体岩石を移動できるかどうかを知らなかった。

このプロジェクトに取り組むことで、我々は創造力を発揮するようになった。二つのデータストリームが同じストーリーに収束するのを見るのはエキサイティングだった。

この研究結果によって、研究者達は、高解像度の3D画像を使ってこのプロセスを直接観察する方法を得ることができ、固体岩石の微細な亀裂を通って高密度の液体硫化物が移動するパーコレーションによってコア形成がどのように発生するかについての長年のモデルを確認した。

研究室で惑星形成条件を再現するには、実験の精度だけでなく、ARES全体の若手科学者間の緊密な協力が必要であり、結果を観察および分析する新しい方法を開発する必要があった。高温実験は、まず実験的な岩石学研究室で行われ、その後、得られたサンプル(または「実行製品」)は、NASAジョンソンのX線コンピュータ断層撮影(XCT)研究室に持ち込まれ、イメージングが行われた。

--- 以下略。

<ひとこと>: 記事の内容は専門的であり、訳文には誤りがあるかも知れません。大判イメージはリンク先から。

<出典>: Victoria Segovia(著者名です)

 6月10日(火)
ウェッブによる新しい視覚化が宇宙の崖を探査

<イメージの説明>: 2022年7月、NASAのジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、現在「宇宙の崖(Cosmic Cliffs)」と呼ばれる地域の息を呑むような景色を明らかにし、歴史に名を残した。信じられないほど詳細に捉えられたこのきらびやかな風景は、ガスとダストの雲の中で星が生まれている、広大なカリーナ星雲複合体の小さな断片、星雲ガム31の一部である。この視覚化は、ウェッブの象徴的なイメージに命を吹き込んでいる。

 

2022年7月、NASAのジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、息を呑むような一連のイメージとともに初公開された。その中には、宇宙の崖(Cosmic Cliff)と呼ばれる優美な風景があった。このきらびやかな星誕生の領域は、ウェッブ宇宙望遠鏡のデータから導き出された新しい3次元視覚化の主題である。NASA の Universe of Learning によって作成され、「3次元で宇宙の崖を探査する(Exploring the Cosmic Cliffs in 3D)」と題されたこの視覚化は、象徴的な Webb のイメージに新たな命を吹き込んでいる。

宇宙の崖として知られる「山」と「谷」の風景は、実際にはNGC 3324と呼ばれる若い星団を含む星雲 Gum 31 の一部である。 Gum 31 とNGC 3324は、いづれも、カリーナ星雲複合体(Carina Nebula Complex)として知られる広大な星形成領域の一部である。

NGC 3324の星からの紫外線と星の風は、 Gum 31 の中に洞窟のような領域を彫っている。この巨大な泡の一部が「宇宙の崖」の上に見える。(星団自体はこの視野の外側にある)。

断崖の絶壁は、天の山々から立ち上る「蒸気」ように見える、霧のかかった外観を呈している。実際には、この小片は熱く、電離したガスとダストが、容赦ない紫外線の猛攻撃を受けて星雲から流れ出している。

鋭い観察眼を持つ視聴者達は、宇宙の崖に埋め込まれた、若くまだ形成中の星からの流出を表す特に明るい黄色の縞や弧を見つけることもできる。動画の後の部分では、イメージの右上にある目立った原始星のジェットを通り過ぎる。

--- 以下略。

<ひとこと>: 右のイメージのリンク先は動画 Youtube です。

<出典>: NASA Webb Mission Team

 6月9日(月)
火星着陸を撮る

<前書き>: HAKUTO-Rには、予定された日本時間2025年6月6日(金)午前3時13分に、着陸シーケンスの実行を指示するコマンドを送信された。ランダーの姿勢がほぼ垂直になったことを確認されたものの、その後、テレメトリが消失し、同日午前4時17分に予定していた着陸予定時刻を過ぎても、着陸を示すデータの受信には至らなかった。
現時点で確認できていることとして、月面との距離を測距するレーザーレンジファインダーにおいて、有効な計測値の取得が遅れ、また予定されていた月面着陸に必要な速度まで十分に減速ができていなかったことが確認されている。これらの状況から、ランダーは最終的に月面へハードランディングした可能性が高いと現時点で推測されている。
以上 ispace の発表 から要約。

日本版民間月探査機ハクトR(HAKUTO-R)の月着陸の不成功は非常に残念なことでしたが、今後の更なる研究を期待しましょう。折から、ヨーロッパ宇宙機関から、火星着陸実験の記事が掲載されましたでご紹介します。宇宙探査において、技術的に最も難しいのは、打上と正確な軌道入りまたは着陸と言われています。これまでに、多くの探査機が不成功に終わり失われています。なお、この動画 .mp4 は、ヨーロッパ宇宙機関の次期火星探査車ロザリンド・フランクリンを運ぶ、エクソマーズ着陸モジュールの着陸のための実験です。

 

火星の大気圏突入時の空気力学を模倣した小型カプセルが時速4000kmで飛び立ち、超音速で壁に衝突する。

EDLM(Entry, Descent and Landing Module:軌道入り、降下、着陸モジュール)の小さなレプリカが、スピードを上げる弾丸よりも速く滑らかな口径の銃から発射される。このビデオは60倍スローダウンされており、実際の飛行はわずか30秒しか続かなかった。

この活動は、エクソマーズ着陸モジュールの縮小版を使用した一連の自由飛行実験の一部であり、ロザリンド・フランクリン・ローバーを搭載する実際の3.8メートルの宇宙船と比較して、直径はわずか8cmである。

これらのテストは、宇宙船が火星の大気圏に突入する際にどのように振る舞うかに関する重要なデータを提供する。火星への2年間の旅の後、エクソマーズ降下モジュールは、熱シールド、パラシュート、レトロロケットに頼って安全に着陸するために、時速21,000kmの速度で火星に接近する。

最初の一連のテストは、再突入カプセルのような乗り物の空気力学を調査する施設を備えた最前線の研究センタであるフランス・ドイツ研究所(ISL)で3月に行われた。

エンジニア達は、ミニExoMars着陸カプセルに内部電子機器を装備し、400メートルの飛行経路を監視した。テストモデルは、スムースパウダーガンから発射されるとカプセルから分離する特別なサボに取り付けられた。試験速度は時速1800kmから4300kmの範囲だった。

テストでは20台のモデルを使用した。各モデルには、飛行データを収集するためのいくつかのセンサーが搭載されていた。チームは、シャドウグラフイメージング、磁力計、加速度計、レーダーを使用して、カプセルの動き、軌道、安定性を分析した。

<ひとこと>: イメージのリンク先は動画 .mp4 です。

<出典>: ExoMars

 6月8日(日)
タイタン:土星を覆う月

地球の月のように、土星最大の衛星タイタンは、その惑星と同期して自転している。2012年5月にカッシーニ宇宙船によって記録されたイメージのこの合成は、そのリングのガス巨人土星の、常に反対側を向いている側の面を示している。

太陽系で唯一、大気が濃い月タイタンは、その表面に液体を持ち、液体の雨と蒸発の地球のようなサイクルを有する、地球以外で知られている唯一の太陽系の世界である。

土星のリングと雲の頂きにある直径5,000キロメートルのこの月のカッシーニの視界に、その高高度の大気のもやの層が明らかである。中央近くにはシャングリラ(Shangri-La)と呼ばれる暗い砂丘が広がる地域がある。

カッシーニが運んだホイヘンス探査機が、地球からの最も遠い宇宙船のとして着陸の後、中央の左下にある。

<ひとこと>: 土星の衛星タイタンは、太陽系で確認された、地球以外で唯一の液体を持つ世界である。ただし、その液体は水ではなくメタンであると考えられている。その地表には多数の湖があり、川が流れている。ヨーロッパ宇宙機関のホイヘンス探査機は、NASAのカッシーニ土星探査機に積まれてタイタンに向かった。着陸は確認されたが間もなく通信が途絶えた。

大判はイメージのリンクから。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

 6月7日(土)
マウナケアの夜空に伸びるレーザーガイド星生成システム
(すばる望遠鏡)

夜、星を見上げるとチカチカと瞬いて見えます。これは温度や密度の揺らぎ(大気揺らぎ)によって大気の屈折率が変化し、星の光が乱されるためです。地上の望遠鏡では観測する星の像がこの大気揺らぎによって広がってしまうという問題があります。この影響を克服する技術が「補償光学」です。補償光学では、観測天体の近くの明るい星(ガイド星)の光の波面を観測し、大気揺らぎの影響を打ち消すように鏡の表面の形状を変えて、シャープな天体の像を得ます。

観測天体の近くに明るい星がない場合は、レーザーによって人工的なガイド星(レーザーガイド星)を作ります。この画像では、マウナケアの夜空にレーザーガイド星生成システムによる光が伸びています。レーザーで空に人工的な星をつくり、大気のゆらぎを測定することで、シャープな星の像を得ることができます。

<ひとこと>: 詳細は下記リンク先から。

<出典>: すばる望遠鏡

 6月6日(金)
ハッブル宇宙望遠鏡35周年記念

NASAのハッブル宇宙望遠鏡は、2025年に軌道上での35年を迎える。1990年4月の打上と展開以来、ハッブル宇宙望遠鏡は、我々の宇宙の強力な観測で天文学の教科書を塗り替えてきた。

ハッブル宇宙望遠鏡は、地球低軌道上の大気圏の上空の最適な位置にあることから、遮るものなく宇宙を眺めることができる。ハッブルの象徴的なイメージは、太陽系の惑星から数十億光年離れた銀河まで、全世界の科学的および文化的資産であり続けている。

宇宙飛行士のサービスミッションと地上の才能あるエンジニアのチームのおかげで、ハッブル宇宙望遠鏡は、打上げから数十年経った今でも健康に運用を続けている。紫外線、可視光線、近赤外光で観測する独自の能力を持つハッブル宇宙望遠鏡は、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡や近日公開予定のナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡などのミッションを補完する貴重なチームメイトである。

2025年、ハッブル宇宙望遠鏡の記念日を記念して、息を呑むような新しい画像、動画、教材、インタラクティブなウェッブアプリなどが登場する。イベントの日程、製品、アクティビティを継続的に発表し、Facebook、Instagram、X でフォローしたり、ハッシュタグ #Hubble35 を使用して、年間を通して確認しよう。

<ひとこと>: 打上の35周年に当たり、ハッブル宇宙望遠鏡のサイトでは記念の記事を掲載しています。下のリンクから、様々な実績をご覧ください。

6月のオブジェクトブラックホール

<出典>: Hubble Space Telescope

 6月5日(木)
嵐を呼ぶ太古の巨大棒渦巻銀河
(国立天文台)

<イメージの説明>: 「J0107a」銀河。左は、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の観測による近赤外線画像。画面下の2つは近距離にある天体。(クレジット:NASA)右は、アルマ望遠鏡によって観測されたガスの分布。棒状構造は時計回りに回転している。大量のガスが、回転の前方の縁から中心に向かって落ち込んでいる。

棒渦巻(ぼううずまき)構造を持つモンスター銀河について、その棒状構造のガスの分布と運動を、アルマ望遠鏡が詳細に捉えました。その結果、初期の宇宙に存在したこの銀河は、現在の宇宙に存在する棒渦巻銀河とはたいへん似通った姿でありながらも、その棒状構造の中ではガスが激しく吹き荒れ、猛烈な星形成を起こしていることが明らかになりました。銀河の成長と進化の歴史に新たな知見を加える重要な研究成果です。

宇宙の誕生から数十億年の初期宇宙には、現在の宇宙に存在する銀河の数百倍もの勢いで星を形成するモンスター銀河が数多く存在していました。その激しい星形成の結果として生じる多くの塵(ちり)は可視光線を吸収してしまうため、塵の影響を受けにくいミリ波・サブミリ波での観測で検出されてきました。

モンスター銀河はやがて巨大楕円(だえん)銀河へと成長すると考えられてきました。しかし近年は、電波と同様に塵の影響を受けにくい赤外線による観測でもその姿が捉えられ、円盤構造を持つモンスター銀河も多いことが分かってきました。特に、高い解像度を誇るジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)による観測から、モンスター銀河の中でも円盤構造を持つ渦巻(うずまき)銀河の姿が、次々に捉えられています。しかし、JWSTでは銀河内のガスの運動を詳しく調べることは困難で、活発な星形成が起こるメカニズムを解明するには至りませんでした。

円盤を持つモンスター銀河の星形成を詳しく調べるため、国立天文台などの研究者から成る研究チームは、「J0107a」という銀河に着目しました。JWSTによる観測で巨大な棒渦巻構造が捉えられている銀河です。研究チームは、この銀河内のガスの運動を知るために、アルマ望遠鏡を用いて星間分子から放出される電波を観測しました。その結果、この銀河と現在の宇宙に存在する棒渦巻銀河とを比べると、棒状構造のガスの分布と運動はたいへん似通っていながらも、棒状構造の中に含まれる星に対するガスの割合とガスの速度は、異なっていることが分かりました。J0107aの棒状構造の中のガスの割合は、現在の銀河の数倍にのぼり、秒速数百キロメートルという速さのガスの流れが半径2万光年という範囲で激しく吹き荒れ、そのガスの一部が銀河の中心に落ち込んで猛烈な星形成を起こしていたのです。これは、初期宇宙の銀河において棒渦巻構造が形成される過程を見ていると考えられます。このような構造や過程が観測的に捉えられたのは初めてで、理論やシミュレーションでも予測されていませんでした。

--- 以下略。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: 国立天文台

 6月4日(水)
宇宙最大級の超巨大ブラックホールの集団を発見
宇宙の物質分布に新たな謎を投げかける
(すばる望遠鏡)

<イメージの説明>: 本研究で発見された超巨大ブラックホール(クエーサー)の集団。くじら座の方向にあります。背景画像は、すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラで撮影されたものです。赤色の影はクエーサーの密度を、青色の影は周囲に分布する数百個の銀河の密度を表します。小さな白枠はクエーサーの位置を、拡大枠はそれぞれのズーム画像を示しています。

国立天文台や東京大学の研究者を含む国際共同研究チームは、くじら座の方向の約 108 億年前の宇宙で 11 個の超巨大ブラックホールが一斉に輝く構造を発見しました。これほど密集した超巨大ブラックホールの集団が見つかったのは、初めてのことです。すばる望遠鏡による広視野観測と、スローン・デジタル・スカイサーベイ(SDSS)のデータを組み合わせた解析から、これらのブラックホールが、成長しつつある宇宙構造の境界に位置していることが明らかになりました。今回の発見は、初期宇宙で銀河団などの構造が形づくられていく過程で、超巨大ブラックホールがどこでどのように成長するのかという、これまでの常識に一石を投じるものです。

超巨大ブラックホールは、周囲のガスや物質を活発に取り込むことで、莫大なエネルギーを放ち、まるで宇宙の灯台のように輝いています。これらの活動的なブラックホールは「クエーサー」として知られています。クエーサーの活動が最も活発だった初期宇宙においても、クエーサー同士の間隔は通常、数億光年と非常にまばらでした。しかし、国立天文台ハワイ観測所の梁永明(リャン・ヨンミン)博士が率いる国際研究チームは、わずか 4,000 万光年という範囲に 11 個のクエーサーが密集して存在する、宇宙規模では極めてコンパクトな構造を発見しました。

--- 以下略。

<ひとこと>: 大判イメージを含む記事の詳細は、下記「すばる望遠鏡」のページをご覧ください。

<出典>: すばる望遠鏡

 6月3日(火)

6月の夜空のノート:太陽系における季節

地球では、3ヶ月ごとに季節の移り変わりがある。太陽系の他の惑星ではどうだろう? 火星の晴れた日はどんな感じだろう? 海王星の冬はどれくらいだろう? 他の惑星を巡って、そこではどんな季節が見えるのか問うてみよう。
<追記>: 恒星を回る惑星には、その軸の傾きによって季節を生じる。太陽系で地球に似た軸を持つ惑星は、火星、土星、海王星である。

火星の秋
火星と地球の軸の傾きはほぼ同じであるが、太陽からの平均距離が1億4200万マイルであるために、火星の1年は地球の687日(地球の約2年)続き、赤い惑星の晩秋になる。ゲイルクレータからの最近の天気予報では、2025年5月20日の週の最高気温は華氏-18度(参考:摂氏マイナス27度)を示していた。

 

7年間の夏
土星の傾きは27度で、火星の25度の傾きや地球の23度の傾きと非常によく似ている。しかし、類似点はそれだけである。軌道が29年の場合、このリングの惑星における1シーズンは7年間続く。土星の季節を体験することはできないが、代わりに地球でリングの平面が交差するのを観ることはできる。直近では2025年3月にプレーンの横断が行われ、土星の環が視界から「消える」のを見ることができた。
<追記>: イメージは参考までに挿入したものです。土星のリングは、実際には非常に薄く、季節の変わり目には、一時、遠い地球の視界からは消えて、見えなくなります。

海王星の季節
太陽からさらに遠く離れると、海王星の各季節は40年以上続く。変化は地球よりも遅く、劇的ではないが、科学者達は、海王星の大気の季節的な活動を観察している。これらのイメージは、1996年から2002年にかけてハッブル宇宙望遠鏡が撮影したものであり、南半球の明るさが季節の変化を示している。

<イメージの説明>: NASAのハッブル宇宙望遠鏡による2002年8月の観測では、1996年以降の海王星の明るさが大幅に増加していることが示されている。この増加は、惑星の南半球で観測される雲の量が増加したためである。これらの増加は、太陽熱の変動によって引き起こされる季節変化が原因である可能性がある。海王星の自転軸は軌道面に対して29度傾いているために、太陽の164.8年の公転軌道の間、季節的な太陽熱にさらされる。この季節変動は、海王星が太陽からはるかに遠いため、地球が経験するよりも900倍小さくなる。また、海王星が太陽の周りを回るのに165年かかるために、季節的な変化の速度もはるかに遅くなる。したがって、南半球の春は数十年続く。図は海王星が太陽からの弱い放射に反応している証拠である。これらの画像は、ハッブル宇宙望遠鏡のカメラによって可視光と近赤外光で撮影された。

<ひとこと>: 記事は一部追加・変更しています。大判はイメージのリンクから。

<出典>: Kat Troche(著者名です)

 6月2日(月)
NASAの衛星画像、初期の火山警報を提供する可能性

<イメージの説明>: チリ南部のチャイテン(Chaitén)火山は、2008年5月2日に、9000年ぶりに噴火した。火山近くの植生の変化を監視するNASAの衛星は、早期の噴火警報に役立つ可能性がある。

科学者達は、木の葉に変化があると、近くの火山が活発になり、噴火する可能性がある時期を示している可能性があることを知っている。NASAとスミソニアン協会との新たな共同研究によって、科学者達は、現在、宇宙からこれらの変化を検出できると考えている。

火山のマグマが地殻を上昇すると二酸化炭素やその他のガスが放出され、地表に上昇する。二酸化炭素を吸収する木々はより緑が豊かになる。これらの変化は、Landsat 8 などの NASA の衛星からのイメージや、AVUELO (Airborne Validation Unified Experiment: Land to Ocean) の一部としての空中計器で確認することができる。

世界の人口の10%は、火山の危険にさらされやすい地域に住んでいる。噴火から数マイル以内に住んでいるまたは働いている人々は、噴出された岩石、ほこり、高温の有毒ガスの急増などの危険に直面している。さらに遠くでは、人や財産は、火山の爆風に続く土砂崩れ、降灰、津波の影響を受けやすくなっている。火山の噴火を防ぐ方法はないので、火山活動の初期の兆しは、公共の安全にとって非常に重要である。NASA の Landsat ミッション パートナーである米国地質調査所によると、米国は世界で最も火山活動が活発な国の 1 つである。

・・・・・中間略・・・・・

衛星を使って火山周辺の樹木を監視すれば、科学者達は、より多くの火山について早期に洞察を得ることができ、将来の噴火について早期に警告を発することができる。火山からの信号には特効薬となるものは1つもない。火山性二酸化炭素が樹木に及ぼす影響を追跡することは特効薬ではない。しかし、それはゲームを変える可能性のある何かになるだろう。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: James R. Riordon(著者名です)

 6月1日(日)
メッセンジャーの水星での最後の日

内部惑星水星を周回する最初の惑星, メッセンジャー宇宙船は、2015年4月30日に、水星の表面のこの領域に静止した。

メッセンジャーのイメージとレーザー高度計データから構築・投影されたこの場面は、広い、溶岩で満たされたシェイクスピア盆地、北東の縁を見下ろしている。幅48キロメートルの大きなクレータ、ヤナーチェク(Janacek)が左上端近くにある。大地の高度は、青いところより約3キロ上が赤色の領域で色分けされている。

メッセンジャーの最終軌道は、中心付近に、秒速約4kmで終わり、直径約16メートルの新しいクレータをつくると予測された。

水星の裏側への衝突は望遠鏡では観測されなかったが、惑星の背後から現れる時間に探査機からの信号が検出されなかったことが確認された。

2004年に打ち上げられたこのメッセンジャー(MESSENGE:MErcury Surface、Space ENvironment、GEochemisty、Ranging)宇宙船は、2011年に太陽系の最深部に到達した後、4,000回以上の軌道を完了した。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

 5月31日(土)
IC 418: スピログラフ星雲

IC 418の奇妙な質感を生み出しているものは何だろう? 

周期的なツールからの描画に似ていることからスピログラフ星雲と呼ばれるこの惑星状星雲IC 418は、よく理解されていないパターンを示している。

恐らく、それらは、わずか数時間で予測できないほど明るさが変化する変光星の中心の星からの、混沌とした風に関連しているのだろう。対照的に、その証拠は、わずか数百万年前、IC 418が、恐らく我々の太陽に似た、よく理解された星であったことを示している。僅か数千年前には、IC 418は、おそらく一般的な赤色巨星だった。しかし、核燃料が尽きてから、外側の包絡が外側に拡大し始め、イメージの中心に見える白色矮星になる運命にある熱い残骸のコアを残した。中心核からの光は星雲内の周囲の原子を励起し、それらを輝かせる。

IC 418は約2000光年の距離にあり、幅は0.3光年である。ハッブル宇宙望遠鏡から撮影されたこの疑似カラーイメージは、その珍しい詳細を明らかにしている。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

 5月30日(金)
NASAの望遠鏡、ブラックホールの前奏曲、フーガに同調する

<ご注意>: 大きな音が出ます。周囲にご迷惑が掛からぬようお願いします。

<イメージの説明>: この3つの音響化は、ブラックホールと、ブラックホールの進化の、さまざまな側面を表している。WR124は、 ウォルフ・ライエ(Wolf-Rayet) と呼ばれる非常に明るく短命な大質量の星であり、将来ブラックホールに崩壊する可能性がある。SS 433は、中性子星またはブラックホールを持つ軌道上に太陽のような星を含む連星、または二重システムである。銀河ケンタウルスAは、その中心に巨大なブラックホールがあり、銀河の全長にわたって轟音を立てるようなジェットを送っている。チャンドラや他の望遠鏡からのデータが、「音響化」と呼ばれるプロセスを通じて音と音符に変換された。

     ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★      

NASAは5月8日に、宇宙の最も密度の高いメンバーと最も暗いメンバー、ブラックホールに関連する3つの新しい宇宙の音を発表した。これらの科学的な成果は、チャンドラX線天文台、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡、イメージングX線偏光探査機(IXPE)など、NASAの宇宙望遠鏡によって収集されたデータを音声化(または音声に変換)したものである。

この新しい3つの音響化は、ブラックホールのさまざまな側面を表している。ブラックホールは時間とともに進化し、さまざまなサイズと環境で見られる。

 

第一楽章、WR 124
第1楽章は、ブラックホールの誕生の可能性の前奏曲である。WR124は、地球から約28,000光年の距離にある ウォルフ・ライエ星(Wolf-Rayet) として知られる、非常に明るく短命な大質量の星である。これらの星は、その外層を宇宙に投げ出し、ウェッブ望遠鏡からの赤外線のイメージに見られる壮大な配置を作り出す。WR124の音響化では、この星雲はフルートとして、また、背景の星は鐘のように聞こえる。スキャンが外側に移動する前に始まるWR124の中心には、超新星として爆発し、崩壊してブラックホールを残す可能性のある星の高温のコアがある。スキャンが中心から外側に移動すると、チャンドラによって検出されたX線源がハープの音に変換される。NASAのジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡からのデータは、金属的な鐘のような音として聞こえ、中心の星の光は、最初に下降する悲鳴のような音を生成するようにマッピングされている。この曲は、ヨーロッパ宇宙機関のハーシェル宇宙望遠鏡、NASAの引退したスピッツァー宇宙望遠鏡、NASAの引退した広域画像探査機(WISE)の赤外線望遠鏡のトリオからの追加データをコードとして演奏する弦楽器によって締めくくられる。

 

第二楽章、SS 433
このブラックホール作品の第2楽章では、リスナーはデュエットを探求することができる。SS 433は、約18,000光年離れたところにある連星システム、つまり二重システムであり、X線で歌い出す。SS 433の2つのメンバーは、中性子星またはブラックホールのいずれかのはるかに重いパートナーの周りの軌道上に太陽のような星を含んでいる。この軌道のダンスは、チャンドラ、IXPE、およびヨーロッパ宇宙機関のXMM-Newton望遠鏡が同調しているX線にうねりを引き起こす。これらのX線のノートは、この天体のワルツの背景を提供するために、無線および赤外線データと組み合わせている。電波の中の星雲は漂流するマナティー(manatee:水牛)に似ており、スキャンは右から左にスイープする。イメージの上部に向かう光は高音にマッピングされ、ラジオ、赤外線、X線光は低、中、高の音域にマッピングされる。明るい背景の星は水滴の音として再生され、連星系の位置は、軌道ダンスによる変動に合わせて脈動する引き抜かれた音として聞こえる。

 

第三楽章、ケンタウルスA
ブラックホールをテーマにした音響化の第3楽章かつ最終楽章は、地球から約1200万光年離れたケンタウルスAとして知られる遠方の銀河と共鳴している。ケンタウルスAの中心には巨大なブラックホールがあり、銀河の全長にわたって轟音を立てるジェットを送っている。イメージの上部から時計回りにスイープすると、スキャンはチャンドラのX線に遭遇し、それらを単音の風鈴として再生する。IXPEからのX線光は、連続した周波数範囲で聞こえ、風のような音を出す。ヨーロッパ南天天文台のMPG望遠鏡からの可視光データは、銀河の星が弦楽器にマッピングされていることを示している。これには、前景と背景の天体が弦をはじいたものとして含まれている。

 

これらの音響化は、NASAのマーシャル宇宙飛行センターとNASAの科学活性化プログラムの一部であるNASAのUniverse of Learningプログラムの支援を受けて、Chandra X-ray Center(CXC)が主導した。このコラボレーションは、ビジュアライゼーション科学者のキンバリー・アーカンド(CXC)、天体物理学者のマット・ルッソ、ミュージシャンのアンドリュー・サンタグイダ、コンサルタントのクリスティン・マレックによって推進された。

<ひとこと>: イメージのリンク先は動画 Youtube です。

<出典>: Beth Ridgeway(著者名です)

 5月29日(木)
太陽、強烈なフレアを放出

<イメージの説明>: NASAのソーラーダイナミクス天文台は、5月24日に、右側に明るい閃光として見える、太陽フレアのこのイメージを撮った。このイメージは、フレアで非常に高温の物質を強調し、青緑色で色付けされた極紫外線のサブセットを示している。

 

太陽は強いフレアを放出し、東部標準時5月24日土曜日の午後9時52分(日本時間5月25日日曜日午前11時52分)にピークに達した。太陽を常に監視しているNASAのソーラーダイナミクス天文台(SDO)は、このイベントのイメージを撮った。

太陽フレアは強力なエネルギーの爆発であり、無線通信、電力網、航法信号などに影響を与え、宇宙船や宇宙飛行士にリスクをもたらす可能性がある。

このフレアはX1.1フレアに分類される。Xクラスは最も強いフレアを示し、数字はその強度について多くの情報を提供する。

このような宇宙の気象が地球にどのような影響を与えるかについては、米国政府の公式のソースであるNOAAの Space Weather Prediction Centerを参照。
NASAは米国の宇宙気象への取り組みの研究部門として活動しており、太陽の活動から太陽の大気、地球を取り巻く宇宙空間の粒子や磁場まで、宇宙船の艦隊とともに、常時太陽と宇宙の環境を観測している。

<ひとこと>: 大判はイメージをクリック(タップ)。

<出典>: Sarah Frazier(著者名です)

 5月28日(水)
<お知らせ>: 溜まっている記事が多数ありますので、しばらくの間、折を見て、いくつかの記事をまとめて掲載します。関連性のある記事をまとめていますが、それぞれが独立した記事なので、掲載順・掲載内容等は不同です。

 

<その1>: ベネラ14号からの金星の表面

もし金星に立つことができたら何を見るだろう?

この写真は、1982年3月に、金星の厚い大気圏をパラシュートで降下し、エアブレーキをかけたソビエトのロボット着陸船ベネラ14号(Venera 14)からの眺めである。

その荒涼とした風景には、平らな岩、広大な何もない地形、そして金星の赤道近くのフォエベ・レジオ(Phoebe Regio)の上空など、特徴のない空が含まれていた。左下には科学的な測定に使われる宇宙船の針入度計、右のライトピースは射出されたレンズキャップの一部である。

摂氏450度近くの温度と地球の75倍の圧力に耐えながら、硬化したベネラ宇宙船はわずか約1時間しか持たなかった。

ベネラ14号のデータは40年以上前に太陽系内惑星系全体に照射されたが、ベネラの珍しい画像のデジタル処理と融合は今日でも続いている。

ヨーロッパ宇宙機関の軌道を周回するビーナスエクスプレス宇宙船によって行われた最近の赤外線測定の分析は、現在、金星に活火山が存在する可能性があることを示している。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

 

<その2>: NASAの研究、金星の地殻の驚きを明らかにする

<イメージの説明>: この金星の表面の全球的な眺めは東経180度を中心としている。データのギャップは、パイオニア・ヴィーナス・オービターのデータまたは一定の中間値で埋められている。シミュレートされた色相は、ソビエトの宇宙船ベネラ13号と14号によって記録されたカラーイメージに基づいている。

 

金星の地殻に関する新しい詳細には、より高温な地球の双子の地質に関するいくつかの驚きが含まれている。

NASAが資金提供した新しい研究によると、この金星の地殻に関する新たな詳細には、地球の地殻の動きを説明する、地球のより高温の双子の地質学に関するいくつかの驚きが含まれている。

科学者達は、金星の地殻の最外層は、地殻を惑星の内部に戻す力が明らかに欠如していることから、時間の経過とともにますます厚くなると予想していた。しかし、Nature Communicationsに掲載された論文は、岩石の密度と融解サイクルに基づく地殻変成過程を提起している。

地球の岩石の地殻は、プレートテクトニクスとして知られるプロセスでゆっくりと移動する巨大なプレートで構成されており、折り目や断層を形成する。たとえば、2つのプレートが衝突すると、軽いプレートが密度の高いプレートの上を滑り、その下の層であるマントルに押し込まれる。沈み込みとして知られるこのプロセスは、地球の地殻の厚さを制御するのに役立つ。底板を構成する岩石は、惑星の内部に深く沈むにつれて、温度と圧力の上昇によって引き起こされる変化を経験する。これらの変化は変成作用として知られており、火山活動の原因の1つである。

対照的に、金星の地殻はすべて一つのピースであり、地球のようなプレートテクトニクスによる沈み込みの証拠はないと、論文の著者は説明している。この論文では、モデリングを使用して、地殻の厚さが平均で約40 km、最大で65 kmの厚さであることがわかった。

地球を考えるとこれは驚くほど薄い。モデルによると、地殻が厚くなるとその底が非常に密になり、壊れてマントルの一部になるか、溶けるほど熱くなることがわかった。したがって、金星には動くプレートはないが、その地殻は変成作用を経験する。この発見は、地球の地質学的プロセスと進化を理解するための重要なステップである。

この分裂または融解は、水と元素を惑星の内部に戻し、火山活動を促進するのに役立つ。これによって、物質が惑星の内部に戻る方法の新しいモデルと、溶岩を作り、火山の噴火に拍車をかける別の方法が得られる。しかし、金星で火山活動がどれだけあるのかは実際にはわかっていない。

<ひとこと>: 記事は要点のみ。イメージの大判はリンクから。

<出典>:  Melissa Gaskill(著者名です)

 

 5月27日(火)
<お知らせ>: 溜まっている記事が多数ありますので、しばらくの間、折を見て、いくつかの記事をまとめて掲載します。関連性のある記事をまとめていますが、それぞれが独立した記事なので、掲載順・掲載内容等は不同です。

 

<その1>: 冥王星の風景

雄大な山々と氷の平原のこの陰影のある風景が、この小さな遠い世界の地平線に向かって伸びている。

それは、2015年7月14日、ニューホライズンズ探査機が最接近してから15分後に、冥王星に向かって振り返ったときに、約18,000キロメートルの距離から撮られた。

このドラマチックなローアングルの夕暮れに近いシーンでは、前景左から正式にノルゲイ・モンテス(Norgay Montes)として知られる険しい山々を追い、地平線に沿ってヒラリー・モンテス(Hillary Montes)を追い、右に滑らかなスプートニク平原(Sputnik Planum)に至っている。

冥王星の希薄な大気の層も、逆光で照らされた視界に明らかになっている。

奇妙に馴染み深い外観の極寒のこの地形には、窒素と一酸化炭素の氷が含まれており、水の氷の山が最大3,500メートルまでそびえ立っている。これは地球の雄大な山々に匹敵する高さである。

この冥王星の光景は380キロメートルである。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

 

<その2>: ニューホライズンズからの冥王星フライオーバー(動画)

もし冥王星の上空を飛べたらどうなるだろう? 何が見えるだろうか? ニューホライズンズ探査機は、2015年7月に時速約80,000キロメートルで遠い世界を通過するときに、これを撮った。

この壮大なイメージは、色とサイズを処理されデジタル的に結合された、2分間のタイムラプス・ビデオに収められている。

旅が始まると、水の氷でできていると考えられるが凍った窒素で着色されていると思われる山々に光が差し込む。まもなく、右側に、比較的暖かい内部から泡立ったと思われる、奇妙な多角形に分割された、ほとんどが固体窒素の平らな海が見える。

クレータと氷の山は下によく見られる光景である。このビデオは、キロメートルサイズのギャップで区切られた高さ500メートルの尾根を示していることから刃型になった(blade)と呼ばれる地形で暗くなって終わる。

ロボット、ニューホライズンズ宇宙船は、冥王星に戻るには勢いが強すぎて、今、太陽系から出ようとしている。

<ひとこと>: イメージのリンク先は動画 .mp4 です。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

 

<その3>: ニューホライズンズからのカロンのフライオーバー(動画)

もし冥王星の衛星カロン(Charon)の上空を飛ぶことができたら何が見えるだろう? ニューホライズンズ宇宙船は、2015年7月に、カメラが燃える中、冥王星とカロンを通り過ぎるときにこれを撮った。

記録されたイメージによって、カロンの表面の大部分をデジタルで再構築することができ、このデータから作成された架空のカロン上空飛行の作成が可能になった。

そのような空想的な1分間のタイムラプスビデオの1つが、垂直方向の高さと表面の特徴の色がデジタルで強調された状態でここに示されている。

この旅は、カロンが凍りついたときに形成されたかもしれない裂け目、カロンの風景を分ける広い裂け目から始まる。すぐに北に向きを変え、モルドール(Mordor)と呼ばれるカラフルな窪地の上を飛ぶが、これは古代の衝撃の珍しい名残であるという仮説が成り立つ。航海は、これまでに見たことのないクレータ、山、裂け目が多い異質な風景の上を続く。

ロボット・ニューホライズンズ宇宙船は、冥王星とカロンに戻るには勢いが強すぎて、今、太陽系から出ようとしている。

<ひとこと>: イメージのリンク先は動画 .mp4 です。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

 5月26日(月)
<お知らせ>: 溜まっている記事が多数ありますので、しばらくの間、折を見て、いくつかの記事をまとめて掲載します。関連性のある記事をまとめていますが、それぞれが独立した記事なので、掲載順・掲載内容等は不同です。

 

<その1>: アレス3着陸地点:火星再訪

マーズ・リコネッサンス軌道船のHiRISEカメラからのこのクローズアップは、アシダリア平原(Acidalia Planitia)南部の風化したクレータと風に吹かれた堆積物を示している。

標準的なHiRISEイメージの色では印象的な青の色合いで、人間の目には、その領域はおそらく灰色または少し赤みがかって見えるだろう。しかし、アンディ・ウィアーのSF小説「火星」に登場する宇宙飛行士の目を除いては、人間の目はこの地形を見ていない。

この小説は、架空の火星ミッション「アレス3」着陸地点に取り残された宇宙飛行士マーク・ワトニーの冒険を描いており、この図の、トリミングされたHiRISEフレームの座標に対応している。

規模を考えると、ワトニーの直径6メートルの生息地は、この大きなクレータの直径の約1/10になる。

アレス3の着陸座標は、もちろん、1997年のパスファインダーの着陸地点である。(現実の)カール・セーガン記念ステーションから北に約800キロメートルしかない。

<参考>:  火星探査宇宙船マーズ・パスファインダは、1997年に、火星の大きなマリネリス峡谷の支流、アレス(Ares)谷に降り立った。マーズパスファインダは、世界で初めての、他惑星のロボット探査車「ソジャナー」を搭載しており、その“ほぼ電子レンジの大きさ”のソジャナーは、母船近くを動き回り、写真を撮り、岩を分析した。母船マーズパスファインダは、後に、「カール・セーガン記念ステーション(右図)」と命名された。

<追記>: 右上のイメージのクレータの凹凸がもし凸に見えたら、それは「クレータ錯視」です。クレータは窪みですから、凹でなければなりません。何度か見直すことによって正しく見えることがあります。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

 

<その2>: 立体で見るヨギとそのフレンド

1997年7月に撮影されたこの写真には、パスファインダー(Pathfinder)着陸機、ロボットローバー・ソジャーナー(Sojourner)、収縮した着陸用エアバッグ、ソファ、フジツボ・ビル、岩ヨギが、火星の表面の3Dのステレオの視界に、一緒に写っていることを示している。フジツボ・ビルは、猫の大きさのソーラーパネルを持つソジャーナーのすぐ左にある岩である。

ヨギは、右上にある大きな人懐っこい岩、「ソファ」は地平線の中央近くに見える角張った岩である。
---ヨギはソジャーナーの正面にあるやや大きな岩、その形が熊ヨギに似て見えることから名づけられた。この後、ソジャーナーによってその組成などが調査された。

赤/青のメガネでイメージを見ると、ドラマチックな3Dの視界が得られる。このステレオの視界は、マーズパスファインダーの画像装置(IMP)によって記録された。この装置には、ステレオ画像と測距用の2つの光路があり、スペクトル分析用のカラーフィルタのアレイが装備されていた。

火星で初めての天文台として運営され、この画像装置は、太陽と、火星の2つの小さな衛星の中で最も小さいダイモスのイメージをも記録した。

<ひとこと>: このイメージは、探査車ソジャナーが、母船パスファインダーのランプを下って、初めて火星の地表に降り立ったときのものである。マーズパスファインダーは、母船パスファインダーおよびロボット探査車ソジャーナーから構成された。“電子レンジサイズ”のソジャーナーのカメラは、まさに“猫の目の高さ”だった。ソジャーナーは、地球以外の世界で初めて活動したロボット探査車だった。ソジャーナーには、自分の車輪で岩などを乗り越えられるかを自律で判断する能力があり、目的の場所を示せば、近くを自由に動き回った。パスファインダーとソジャーナーから得られた情報は、当時としては極めて画期的なものであった。---大判はイメージのリンクから。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

 5月25日(日)
温室効果ガス・水循環観測技術衛星(GOSAT-GW)記者説明会

JAXAによる説明会です。文章による解説はありません。動画からご覧ください。

<ひとこと>: イメージのリンク先は動画 Youtube です。

<出典>: JAXA

 5月24日(土)
棒渦巻き銀河 NGC 5335

NGC 5335のこの見事な肖像画はハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された。

幅約17万光年、乙女座に向かって2億光年以上にある。

この壮大な渦巻銀河はハッブルの視界には正面に見える。この銀河システムの円盤の中には、銀河の凝集した渦巻き状の腕に沿って星形成領域のゆるい流れが横たわっている。 しかし、 NGC 5335の最も印象的な形は、その目立つ中央のバー(棒:bar)である。

我々のミルキウェイを含む銀河の約30%に見られる棒状の構造は、星形成に燃料を供給する物質を銀河の中心に向かって内側に導くと理解されている。もちろん、シャープなハッブルイメージの周りに散らばっている遠くの背景銀河も目につく。

1990年に打ち上げられたハッブル宇宙望遠鏡は、地球を周回する軌道から宇宙を探査して35年目を迎えている。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

 5月23日(金)
若い星の集団 NGC 346

小マゼラン雲で最も巨大な若い星団NGC 346は、約210,000光年離れた小さな衛星銀河の最大の星形成領域に埋め込まれている。もちろん、NGC 346の大質量の星達は短命であるが、非常にエネルギッシュである。その風と放射線は、この領域のダストの分子雲の端を形づくり、内部で星形成を引き起こす。

星形成領域には幼い星の集団もたくさん含まれているようである。僅か300万年から500万年前のものであり、まだ核で水素を燃やしていないこの幼い星達は、埋め込まれた星団の周りに散らばっている。

このNGC 346の壮大な赤外線の視界は、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の赤外線カメラからのものである。大質量の星の高エネルギー放射によって電離された水素原子からの放出、および星形成分子雲の中の水素分子とダストの放出が、ピンクとオレンジで詳細に描かれている。

このウェッブの若い星形成領域の鮮明なイメージは、小マゼラン雲の距離で240光年に及んでいる。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

 5月22日(木)
記録破りのガイアの最後の星の光(その2)
(ガイア、我々の銀河の側面図を再構築)

ミルキウェイ銀河は横からどのように見えるだろう? 我々は内側にいるので実際のイメージを見ることができない。しかし、最近になって、ヨーロッパ宇宙機関のガイア(Gaia)ミッションによる10億個超の星の位置データを使って、まさにそのような地図が作られた。

その結果の、この注目のイラストは、他の多くの渦巻銀河と同様に、ミルキウェイ銀河には非常に薄い中央の円盤があることを示している。

我々の太陽と、我々が夜に見る全ての星はこの円盤の中にある。

以前にも仮説が立てられていたが、おそらくもっと驚くべきことは円盤が外縁で湾曲して見えることである。

我々の銀河システムの歪んだ中央の帯の色は、主に暗いダスト、明るい青い星、赤い放射星雲に由来する。

データ分析は進んでいるが、ガイアは、ミッションが成功した後、今年3月に非アクティブにされた。

<ひとこと>: これは「今日の天文写真(下記)」に掲載された記事です。ガイアの極めて特殊性のある重要な記事はこのほかにも多数(二桁)ありますが、他の多数の記事に追われて掲載できていません。(その1)は4月22日の記事をご覧ください。大判はこの上のイメージのリンクから。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

 5月21日(水)
バイオマス・ミッション、Vega-Cで打上げられる

ヨーロッパ宇宙機関の最先端のバイオマス衛星が、フランス領ギアナのヨーロッパの宇宙ポートから、Vega-Cロケットで、現地時間2025年4月29日06:15に打上げられた。

この最新の地球探査ミッションは、軌道では、世界の森林の健康状態とダイナミクスに関する重要な洞察を提供し、森林が時間とともにどのように変化しているかを明らかにし、重要なこととして、地球規模の炭素の循環における森林の役割についての理解を深める。これは、干渉画像用の完全偏波Pバンド合成開口レーダーを搭載した初めての衛星である。約70cmのPバンドの長い波長のおかげで、レーダー信号は森林層全体をスライスして、木が炭素の大部分を貯蔵する木質の幹、枝、茎を意味する「バイオマス」を測定できる。

バイオマス(biomass)
生物量---地域内の単位面積[体積]当たりで表わした生物の現存量

Vega-Cは、Vegaファミリーのロケットを進化させたもので、性能の向上、ペイロード量の増加、競争力の向上を実現している。

<ひとこと>: イメージのリンク先は、バイオマス衛星に関する動画 .mp4 です。

<出典>:  Observing the Earth

 5月20日(火)
ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡で見た銀河の分類を手伝う

NASAは、銀河動物園プロジェクト(Galaxy Zoo project)と共同で、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影したイメージから、何千もの銀河の形を特定するために(一般の)協力を求めている。これらの分類は、科学者達が銀河の形が、時間とともにどのように変化したか、これらの変化の原因、そしてその理由についての疑問に答えるのに役立つ。ウェッブ宇宙望遠鏡の集光力のおかげで、銀河動物園の市民科学プロジェクトのウェブサイトには、現在、科学者達が自ら分類するよりも多くの銀河のイメージが掲載されている。

・・・・・ 中間略 ・・・・・

銀河動物園は、科学的な影響の長い歴史を持つ市民科学プロジェクトである。銀河動物園のボランティアは、2007年7月から深宇宙を探検しており、ニューメキシコ州のスローン・デジタル・スカイ・サーベイと呼ばれる望遠鏡からの100万個の銀河から始めて、NASAのハッブル宇宙望遠鏡やESA(欧州宇宙機関)のユークリッド望遠鏡などの宇宙望遠鏡からのイメージに移っている。このプロジェクトは、壮大な合体を明らかにし、銀河の中心にあるブラックホールがそれらのホストにどのように影響するかについて教え、渦巻の腕のような特徴がどのように形成され成長するかについての洞察を提供した。

今、ウェッブ宇宙望遠鏡からの新しいデータを追加するだけでなく、科学チームはZooBotと呼ばれるAIアルゴリズムを組み込んでおり、人間とAIが協力することによって、無数の銀河を正確に分類することができる。

--- 以下略。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。記事は要点のみ。

<出典>: NASA Science Editorial Team

 5月19日(月)
月偵察軌道船(LRO)、日本の月着陸船の着陸エリアを視る

NASAの月偵察軌道船カメラ(LROC)は、国際時間2025年6月5日までに月面に着陸する予定の月着陸船、日本のアイスペース社のハクトRレジリエンス「ispace SMBC x HAKUTO-R Venture Moon Mission 2 RESILIENCE」の着陸エリアを撮った。

このメイン・ランディングエリアの視界は、幅5,040 メートル、北は上である。この場所は、しわの尾根(wrinkle ridges)として知られる大規模な断層が点在する火山地域であるマーレ・フリゴリス(Mare Frigoris)にある。マーレ・フリゴリスは、35億年以上前に大規模な玄武岩の噴火が低地を氾濫させたことで形成された。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Goddard Digital Team

 5月18日(日)
分子雲の中での星団形成

星は「分子雲」と呼ばれるほぼ水素分子から成る低温のガス雲の中で誕生します。このとき、多くの星が同時に生まれ星団が形成されると考えられています。

星団が作られる過程で生まれた大質量星は、周囲の分子雲を電離し、電離領域と呼ばれる高温ガスの領域を作ります。星団形成が進み、大質量星の数が増えてくると、星団内の全ての分子雲は電離によって吹き飛ばされ、最後に互いの重力で束縛された星だけが残ります。これが、星団と呼ばれる天体です。

この映像は、重力によって潰れていく分子雲の流体計算、その中で生まれた星が分子雲や他の星からの重力を受けて運動する軌道の計算を合わせて行うことで、星団が形成される過程をシミュレーションで描きだしたものです。

<ひとこと>: 国立天文台からの記事です。動画を含む詳細は下記からご覧ください。

<出典>: 国立天文台

 5月17日(土)
夜明け前のデイモス

NASAの探査機「パーサビアランス」は、火星日1,433日目の2025年3月1日午前4時27分(現地時間)に、火星の2つの衛星のうち小さい方のダイモス(Deimos)が空に輝いている様子を撮影した。夜明け前の暗闇の中、ローバーの左ナビゲーションカメラは、16枚のショットごとに最大3.28秒の長時間露光時間を使用し、そのすべてがカメラに搭載された1つの画像にまとめられ、後で地球に送信された。合計すると、画像は約52秒の露光時間を表している。

低照度と長時間露光によってデジタルノイズが追加され、画像はかすんでしまう。空に見える白い斑点の多くは、おそらくノイズである。宇宙線である可能性もある。明るい白い斑点の2つは、しし座の一部である星であるレグルス(Regulus)とアルギエバ(Algieba)である。

<ひとこと>: 中央右上の小さな白い点です。大判はイメージをクリック(タップ)。

<参考>: 火星にはフォボス (Phobos)とダイモス (Deimos)の二つの衛星があります。共に一般的な惑星の衛星と異なり、惑星と同じ時期にできたものではなく、小惑星帯から捕らえられた可能性が高いとされています。このためにいずれは火星に落下して消滅すると考えられています。

<出典>: Monika Luabeya(著者名です)

 5月16日(金)
<お知らせ>: 掲載すべき記事が多いので、最近の記事の一部は、「アストロサイエンス」 に、短く掲載していますので、参考にしてください。

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はくちょう座のループを新しい手法で見る

ベール星雲(Veil Nebula)とも呼ばれる、はくちょう座ループ(Cygnus Loop)は、超新星の残骸であり、大質量の星の爆発的な死の残骸である。このようなイメージの研究は発見につながるが、NASAのチャンドラX線天文台は、人々が星の初期段階と最終段階を探索し、プリントすることを可能にする。

このはくちょう座ループの3Dモデルは、爆発による爆風と星間物質の孤立した雲(星間にあるダストとガス)との相互作用を説明するシミュレーションの結果である。チャンドラは、何百万度にも加熱された、爆風やその他の物質を見ている。これらの3Dモデルは、最先端の理論モデル、計算アルゴリズム、チャンドラのような宇宙望遠鏡からの観測に基づいており、これらの宇宙の天体と、それらが時間の経過とともにどのように進化するか、を正確に把握することを可能にする。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Chandra X-ray Observatory

 5月15日(木)
ジュノ・ミッション、木星とイオの表面の下を潜る

<イメージの説明>: NASAの木星探査宇宙船ジュノに搭載された可視光画像装置ジュノ・カムは、2025年1月28日の宇宙船の69回目のフライバイ中に、巨大な惑星の雲の頂きから約58,000キロメートルの高度で、木星の北の高緯度のこの強化されたカラーの視界を捉えた。

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軌道船からの新しいデータは、ガスの巨人の北方域の激しい風とサイクロン、およびその衛星の火山活動に光を当てている。

ジュノ・ミッションは、木星の雲に覆われた大気と、その燃え盛る衛星イオの表面を覗き込んだ後、新たな発見を集めた。このデータは、木星のサイクロンで覆われた北極を取り囲む高速移動するジェット気流をよりよく理解するための新しいモデルの開発に役立つだけでなく、その衛星イオの地下温度のプロファイルを初めて明らかにし、内部構造と火山活動に関する洞察を提供した。

チームメンバーは、4月29日火曜日に、ウィーンで開催されたヨーロッパ地球科学連合総会のニュース会見で、この調査結果を発表した。

--- 以下略。

<ひとこと>: 記事はほとんど過去のデータから構成されていますので詳細は省略します。

<出典>: Juno

 5月14日(水)
太陽軌道船の最広域・高解像度の太陽の眺め

ミッションの5年の中で、ヨーロッパ宇宙機関の太陽軌道船(Solar Orbiter)が、太陽の詳細な眺めで再び驚かせる。見えているのは紫外線の、太陽の100万度の高温の大気、コロナと呼ばれる。

太陽の乱雑な磁場に捕らえられた高温のプラズマ(荷電粒子)に飛び込み探索しよう。活動領域の周囲の輝くコロナループや、暗く冷たいフィラメントや隆起を見ることができる。

これほど詳細なイメージをとるのは簡単なことではない。2025年3月9日、太陽から約7,700万キロメートルの地点で、太陽軌道船は、5×5のグリッドで太陽を挟んださまざまな領域を指すように向きを変えた。それぞれのポインティングの方向で、極紫外線画像(EUI)装置は高解像度で6枚のイメージと2枚の広角の視界をとらえた。

ここに示されているイメージは、200枚のイメージを組み合わせて、これまでで最も広い高解像度の太陽の視界にしている。

太陽軌道船は、ヨーロッパ宇宙機関とNASAの、国際協力による宇宙ミッションである。極紫外線画像(EUI)装置はベルギー王立天文台(ROB)が主導している。

<イメージの説明>: 太陽は、輝く乱れた髪で覆われた表面を持つ暖かい黄色の球体のように見える。黄色の光彩はイメージの端まで広がり、一部の領域は他の領域よりも明るくなる。太陽の赤道の周りの広い帯から多くの明るい黄色の弧が突き出ている。太陽の南極近くのほぼ水平線を横切って、暗い領域が目立つ。明るい弧といくつかの暗い物質は、太陽の端の周りにも見られる。

<技術的な詳細>: この大きなイメージは、2025 年 3 月 9 日の 13:06 から 17:31 UTC の間に、太陽軌道船(Solar Orbiter)の極紫外線画像装置によって、 17.4 ナノメートルの波長で撮影されたイメージから組み立てられた。太陽軌道船は、赤道から約7700万キロメートル離れた、緯度11.4°から太陽を観測していた。最終的なイメージのサイズは 12544 x 12544 ピクセルであり、対応する 6171.6 x 6171.6 秒角である。直径140万キロメートルの太陽は、約7505ピクセルと3692.6秒角に広がっている。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。非常に大きなイメージです(62MB)。

<出典>: Week in images (ESA)

 5月13日(火)
NASAのルーシー宇宙船、小惑星ドナルドヨハンソンを撮る

<イメージの説明>: ルーシー長距離偵察画像装置(L'LORRI)によって見られた小惑星ドナルド・ヨハンソン(Donaldjohanson)。これは、NASAのルーシー宇宙船がフライバイ中に送り返した最も詳細なイメージの1つである。このイメージは、国際時間2025年4月20日午後5時51分に、約1,100 kmの範囲から、最接近で撮影された。探査機の最接近距離は960kmだったが、表示されているイメージは約40秒前に撮影された。イメージはコントラストを高めるためにシャープ化および処理されている。

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NASAの探査機ルーシー(Lucy)は、2025年4月20日のフライバイ中にメインベルトの小惑星ドナルドヨハンソン(Donaldjohanson)のこのイメージを撮影し、細長い接触連星(2つの小さな天体が衝突したときに形成される物体)を示した。これは、この宇宙船の12年間のミッションでの、ルーシーの2回目のフライバイだった。

2021年10月16日に打ち上げられた「ルーシー」は、木星トロヤ群小惑星として知られる多様な小天体を探査するために派遣された初めての宇宙ミッションである。我々の初期の太陽系のこれらの残骸は、巨大な惑星木星に関連しているが近くない、安定した軌道に閉じ込められている。ルーシーは、太陽系の主要な小惑星帯にある3つの小惑星と、木星と太陽の周りを公転する8つのトロヤ群小惑星のそばを飛んで、記録破りの数の小惑星を探索する。2025年4月20日は、ルーシーにとって2回目のフライバイだった。探査機の次の目標は、2027年8月に予定されているトロヤ群の小惑星エウリュバテス(Eurybates)とその衛星クエタ(Queta)である。

ルーシーの名は、人類以前の祖先の化石化した骨格にちなんで名付けられた。小惑星ドナルドヨハンソンは、この標的になる前には名前がなかった。ドナルドヨハンソンという名は、ルーシーの化石を発見した古人類学者、ドナルド・ヨハンソン博士に敬意を表して選ばれた。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Madison Olson(著者名です)

 5月12日(月)
宇宙で最も明るい光には、ある暗い起源を持っている


<イメージの説明>: このアーティストのコンセプトに示されているように、活動銀河の中心では、超大質量ブラックホールに向かって落下する物質が、光速に近い速度で移動する粒子のジェットをつくり出す。

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空で最も明るい光源のいくつかは、銀河の中心にあるブラックホールの周りの領域から来ている。ちょっと矛盾しているように聞こえるが、我々の目には明るく見えないけれども衛星は宇宙全体で多くのそれらを発見している。

その衛星の一つが、NASAのフェルミガンマ線宇宙望遠鏡である。フェルミは2008年の打上げ以来、何千ものこの種の銀河を発見してきたが、そこには更に多くの銀河がある。

<右のアニメ .mp4 の説明>: NASAのフェルミガンマ線宇宙望遠鏡に搭載された大面積望遠鏡(LAT)からわずか1年間のデータを使用したこのアニメーションでの、宇宙のガンマ線の花火のショーを見よう。各オブジェクトのマゼンタ色の円は、明るくなるにつれて大きくなり、暗くなると小さくなる。黄色の円は、太陽が空を横切るように見える年間パスに従っていることを表している。このアニメーションは、継続的に更新されるリポジトリ内の 1,500 を超えるオブジェクトで利用可能なLATガンマ線記録のサブセットを示している。これらの源の90%以上は、超大質量ブラックホールの活動によって動力を得ている ブレーザー(blazar) と呼ばれる銀河の一種である。

ブラックホールは、光も粒子も何も逃げられないほど重力が強い宇宙の領域である。ほとんどの銀河は、その中心に超大質量ブラックホールがあり、これらのブラックホールは太陽の数十万倍から数十億倍の質量がある。活動銀河核(active galactic nuclei または単に「活動銀河」 active galaxies:略して「AGN」)では、中央領域にはガスとダストが詰め込まれており、それらは常にブラックホールに向かって落ち込んでいる。ガスとダストが落ちると、それらは回転し始め、円盤を形成する。摩擦やその他の力が働くため、回転する円盤が熱くなる。

<イメージの説明>: この活動銀河マルカリアン573の合成図は、NASAのチャンドラX線天文台からのX線データ(青)とニューメキシコのカール・G・ジャンスキー超大型アレイからの電波観測(紫)とハッブル宇宙望遠鏡からの可視光画像(金)を組み合わせたものである。マルカリアン573は、中心にある超大質量ブラックホールから放出される2つの円錐形が流れ出ている活動銀河である。

円盤の熱は光として放出されるが、それは我々が目で見ることができる波長だけではない。AGNからの光は、より身近な電波や光波から、特別な望遠鏡で見つける必要があるエキゾチックなX線やガンマ線まで、電磁スペクトル全体にわたって検出される。

AGNの約10個に1個は、光とほぼ同じ速さで移動する高エネルギー粒子のジェットを放出する。科学者達は、これらのジェットを研究して、その膨大な重力ですべてを引き込むブラックホールが、これらのジェットで粒子を推進するために必要なエネルギーをどのように供給しているかを理解しようとしている。

<イメージの説明>: このアーティストのコンセプトは、約5億光年離れたところにある活動銀河TXS 0128+554の2つの視界を示している。
左は、銀河の中心のジェットが、両方を同じ角度から見た場合のように見える。ダストとガスの円盤に埋め込まれたブラックホールは、光速に近い速度で移動する一対の粒子ジェットを発射する。科学者達は、NASAのフェルミガンマ線宇宙望遠鏡によって検出されたガンマ線(マゼンタ)は、これらのジェットの基部から発生していると考えている。ジェットが銀河を取り巻く物質と衝突すると、電波の波長(オレンジ色)で見られるのと同じローブを形成する。ジェットは2つの異なる活動を経験し、ローブとブラックホールの間にギャップができた。
右は、銀河は実際の向きで見え、ジェットは我々の視界から約50度傾いている。

<イメージの説明>: AGNの種類を見分ける方法の多くは、我々の視点から見てAGNがどのように向きかによって異なる。例えば、電波銀河では、ジェットが宇宙空間に大量のエネルギーを放出しているのが横から見える。ブレーザーはAGNの一種であり、ジェットが地球にほぼ直接向けられているために、AGNは特に明るくなっている。

フェルミは2008年からガンマ線源を空で探してきた。発見された情報源の半分以上は活動銀河だった。ガンマ線は、粒子がどのように加速し、環境とどのように相互作用するかについて多くのことを教えてくれる。

では、なぜAGNに関心があるのだろう? 我々は、宇宙の歴史の初期にいくつかのAGNが形成されたことを知っている。その巨大な力で、彼らはほぼ間違いなく宇宙が時間とともにどのように変化するかに影響を与えてきた。AGNの仕組みを発見することで、宇宙がどのようにして今のような形になったのかをよりよく理解することができる。

<ひとこと>: それぞれの大判はイメージのリンクから。

<出典>: NASA Universe Web Team

 5月11日(日)
ウェッブからの銀河のレンズ効果

これは一つの銀河? それとも二つの銀河? 一つのようにも見えるが、答えは二つである。

これを実現する道筋には、小さな銀河が大きな銀河と衝突し、中心にたどり着くことがある。

しかし、このイメージでは、もっと珍しいことが起こっている。ここでは、中央の明るい色の楕円銀河が、それを取り巻く青と赤の渦巻銀河よりもはるか近くにある。このことは、近い銀河と遠い銀河が正確に並んでいる場合に起こり、近くの銀河の重力によって周囲の遠方の銀河からの光が引っ張られ、重力レンズ効果と呼ばれる効果が生じている。

この注目の二重の銀河はウェッブ宇宙望遠鏡によって撮影され、完全なアインシュタインリングを示しており、二つの銀河が非常に詳細に見える。

このような銀河のレンズ効果は、前景のレンズの質量分布と、背景の源の光の分布に関する新しい情報を明らかにすることができる。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

 5月10日(土)
ウェッブの星雲 NGC 1514

星(恒星)が核燃料を使い果たすとどうなるだろう? 我々の太陽のような星の場合、中心は凝縮して白色矮星になり、外側の大気は宇宙に放出されて惑星状星雲として現れる。

惑星状星雲NGC 1514の放出された外部大気は、可視光線で見ると泡の寄せ集めのように見える。しかし、ここで紹介されているように、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡からの赤外線での眺めは、この星雲が明確な砂時計のような形を示している。 これは、対角線に沿って見える円柱として解釈される。星雲の中心をよく見ると、連星システムの一部である明るい中心の星も見える。

更なる観測によって、この星雲がどのように進化し、中心の星が、この観測された興味深い円柱と泡をどのようにつくり出しているのかを明らかにするかも知れない。

<ひとこと>: これは、4月30日に「ジェームスウェブ宇宙望遠鏡」に掲載した記事の要約版です。大判はイメージのリンクから。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

 5月9日(金)
宇宙から見た地球:世界最大の氷山

2025年4月5日、ヨーロッパ宇宙機関のコペルニクス・センチネル3号に搭載された海洋・陸地カラー装置(Ocean and Land Colour Instrument)は、地球最大の氷山であるA23aのイメージを撮った。

ズームインして、このイメージをフル解像度で見よう。

現在、離島サウスジョージア島から73kmの海底に氷塊が溜まっており、雲の下から顔を出しているのが見える。

このイメージでは島の大きさははっきりと見えないが、氷山よりもわずかに大きいのみである。A23aの面積は3460平方キロメートルと推定されており、これは英国のロンドンの2倍の大きさである。それに比べてサウスジョージア島は3528平方キロメートルである。

2023年12月には、南極から海流に押されて海底から外れた山岳のイメージもヨーロッパ宇宙機関によって取り上げられた。当初は1986年にフィルヒナー棚氷から離れ2000km以上を走行している。

A23aは崩壊し始めており、特に山岳地帯の北側、紺色の海に多くの小さな氷の塊が見える。この崩壊は、はるか北に到達する氷山の典型であり、暖かい海水温と気象条件によって引き起こされる。

サウスジョージア島は長さ170kmの山の島で、中央の尾根は2935mの高さに達する。フォークランド諸島(ラスマルビナス)の東約1400km、南極半島の先端の北東にある南大西洋にある。

イギリスの海外領土であるサウスジョージア諸島とサウスサンドウィッチ諸島の中で最大であり、ペンギンやアザラシ、英国南極調査所の研究ステーションなど、さまざまな生物多様性が生息している。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Observing the Earth

 5月8日(木)
NASAのSPHEREx、全天の撮影を開始

数週間の準備期間を経て、この宇宙天文台は科学ミッションを開始し、1日あたり約3,600枚のユニークなイメージを撮影して、他に類を見ない宇宙のマップを作成した。

3月11日に打ち上げられたNASAのSPHEREx宇宙観測所は、過去6週間にわたって点検や校正などの作業を行い、正常に機能していることを確認してきた。現在では、空の大部分だけでなく、全天をマッピングして、何億もの銀河の位置を3Dでグラフ化し、宇宙に関するいくつかの大きな疑問に答えている。5月1日、探査機は、宇宙の起源、銀河、ミルキウェイ銀河の生命の成分について新たな洞察を提供するために、今後2年間にわたって1日あたり約3,600枚のイメージを撮影する通常の科学運用を開始した。

地球軌道上の止まり木から、SPHERExは惑星と太陽から離れて暗闇を覗き込む。この天文台は、計画された調査運用の25ヶ月で11,000以上の軌道を完了し、1日に約14回地球を周回する。地球を北から南に周回し、極を通過し、毎日、空の1つの円形のストリップに沿ってイメージを撮る。日が経ち、惑星が太陽の周りを移動すると、SPHERExの視野も変化し、6か月後には天文台はあらゆる方向の宇宙を見渡すようになる。

SPHERExが空の写真を撮ると、光は6つの検出器に送られ、それぞれが異なる波長の光を捉えるユニークなイメージを生成する。これらの6つのイメージのグループは露出(exposure)と呼ばれ、SPHERExは1日に約600回の露出を行う。

SPHERExの数十万枚のイメージをデジタルで織り込み、2年間で4つの全天マップを作成する。全天をマッピングすることで、ビッグバン後の最初の一瞬に何が起こったのかについての新たな洞察を提供する。その短い瞬間に、宇宙のインフレーションと呼ばれる出来事が、宇宙を1兆兆倍に膨張させた。

<ひとこと>: 以上要点のみ。大判はイメージをクリック(タップ)。

昨日掲載したヨーロッパ宇宙機関のガイアに続いて、NASAの SPHEREx は、宇宙の広域を探って、その重力の分布、成り立ちや構成の起源などを探ろうとする計画です。ガイアがミルキウェイ銀河の調査に主点を置いたのに対し、 SPHEREx は、宇宙全体に焦点を当てています。
コンピュータの脅威的な進歩があるとはいえ、ガイアと同様、その成果の分析には、気の遠くなる時間を必要とするでしょう。

<出典>: Jet Propulsion Laboratory

 5月7日(水)

ガイア、ホームを出ることを切望している星の奇妙な家族を見つける

ヨーロッパ宇宙機関(ESA)のガイア(Gaia)ミッションは、ホームを出たがっている珍しい星の家族を発見した。この家族は、星空を調査するこの宇宙船なしでは発見できなかっただろう。

ミルキウェイ銀河の星は家族で形成され、ほぼ同じ場所でほぼ同じ時期に同様の星が誕生する傾向がある。これらの星は、後に、巣を飛ぶ準備ができたときに、より広い銀河に向かう。小さなグループは完全に消えてしまうことがあるが、大きな家族の兄弟は通常、同じように動き、主として共に旅する。

我々は、ガイアと共に多くの星の家族を見てきた。我々は、ミルキウェイ銀河を横切って伸び、何十億年もの間無傷で残る星の列を見つけ、銀河システムの最も初期の構造を形成するために共に曲がりくねった古代の星の流れをマッピングし、我々の宇宙のホームの星の「家族の肖像画」をまとめた。星の家族を研究することによって、星自体の特徴や振る舞いをつなぎ合わせるだけでなく、銀河システム全体がどのように進化しているかについても学ぶことができる。

Gaiaのデータを使って、科学者達は、今、1000以上の若い星達が奇妙な行動をとる大家族の、他に類を見ない星の家族を見てきた。その大きさにもかかわらず, オフィオン(Ophion)と呼ばれるこの家族は、間もなく、空っぽの巣だけを残して、記録的な速さで完全に分散するだろう。

オフィオンを見つけるために、研究者達は、ガイアの広大で、また比類のない分光データの宝庫を探索し、太陽に適度に近くに横たわる若く低質量の星についてさらに学ぶための新しいモデルを開発した。彼らは、ガイアネット(Gaia Net)と名付けられたこのモデルを、ガイアのデータ公表3の一部として発表された数億の恒星スペクトルに適用した。その後、彼らは2000万年未満の「若い」星に検索を絞り込み、オフィオンが飛び出した。

--- 以下略。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。
4月22日の記事にも掲載した、2013年12月19日に打ち上げられたヨーロッパ宇宙機関(ESA)の「ガイア(Gaia)」衛星は、これまでにない任務を与えられた格別な探査機であり、最近、そのミッションを終えた。ガイアは、ミルキウェイ銀河システムの中央方向とその近傍の、膨大な数の星達を一つ一つ詳細に観測し、その構造や動きを解明することを目的とした。これまでの10年間で、約20億の星達やその他の天体を3兆回以上観測し、その膨大なデータを地球に送り返した。そのデータとその解析は既に3回発表されている。これまでの発表に見られるデータは、極めてユニークであり、興味深いものであった。
本サイトでは、これらのデータを紹介すべく取り組んでいるが、他に掲載すべき記事が多いこと、膨大な記事から要約する作業を必要とすることなどから、まだ“その1”しか掲載できていない。

<出典>: Gaia


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