このページでは様々な時宜に即した「今日の宇宙(Space of the Day)」をご紹介しています。
掲載期間は概ね一か月。土曜日・日曜日・祝日は「肩の凝らない」記事を選んでいます。

モデル 5

 9月5日(金)
NASAの科学者達、海洋衛星からのデータで            
          植物の生産性をマッピング

<イメージの説明>: NASAの衛星データによる植物の生産性のマップをつくる新しいツールが、暑さ、干ばつ、寒波、その他のストレスによって脅かされている作物について、土地管理者達に早期の警告を提供している。

NASAの科学者達は、成長期を通して、さまざまな条件下で植物の成長を監視するための新しいツールのセットを開発した。土地管理者達がこれらのツールを使用して、植物の生産性の急激な低下を検出し、熱ストレス、干ばつ、寒波などの事象に早期に対応できることが期待されている。生産性、即ち植物が光合成を通してエネルギーをどれだけ効率的に生産しているかを監視することは、生態系を維持し、豊かな生物の多様性を維持し、信頼性の高い食料生産を確保するために不可欠である。

山岳地帯、熱帯林、ツンドラ、農地など、世界中の様々な生態系が多種多様な植生を支えている。研究者達は、これまで、NASA のテラ(Terra)衛星やアクア(Aqua)衛星に搭載された中解像度画像分光放射計 (MODIS) などの機器を使って地球の生態系を監視し、MODIS が検出する光合成に関連する特定の波長を分析してきた。7月10日に発表された研究では、科学者達は、NASAのプランクトン・エアロゾル・クラウド・海洋生態系(PACE)衛星に搭載された海洋カラー機器(OCI)に目を向け、2024年3月から9月までの期間を観測することで、この新しいデータが季節を通して植物の生産性について何を教えてくれるかを調べた。

NASAは、2024年2月に、海洋と大気の健全性を評価するためにPACEを打ち上げた。以来、地球科学者達は、この研究者達に対して、陸上で収集されたデータに、衛星の機器を使用するよう勧めている。MODISと比較して、OCIは植物から反射する光の範囲をはるかに広範囲に捉えており、全体的により多くのデータを収集する。新しい監視ツールはOCIのデータに依存しており、年間を通じて生産性をより明確に把握することができる。 <ひとこと>: イメージのリンク先は動画 .gif です。

<出典>:  James Riordon(著者名です)

 9月4日(木)
恒星のジェットが生み出した、衝撃波で形が歪められた原始惑星系円盤を発見
(ALMA:国立天文台)

アルマ望遠鏡の観測データを解析することで、若い恒星からのジェットが生み出した衝撃波によって形がゆがめられた原始惑星系円盤が発見されました。惑星が誕生する現場は、予想以上に過酷なのかもしれないことを示唆する知見です。

恒星は分子雲のガスが重力で集まることによって誕生します。その際、落下するガスは回転しながら星に落ち込むため、恒星の周りには原始惑星系円盤と呼ばれる回転円盤が形成され、その中で塵(ちり)やガスが集まり最終的に惑星が形成されます。ただし、ガスの多くは恒星へは落下せず、ジェットなどの形で放出されて再び分子雲へ戻っていくことが知られています。このジェットや分子雲、円盤がどのように影響し合っているかについては、これまで詳細には知られていませんでした。

茨城大学の研究者を中心とする研究チームは、へびつかい座方向にある原始惑星系円盤を持つ若い恒星WSB 52に着目し、アルマ望遠鏡が観測したデータを再解析しました。その結果、円盤の近くに急激に膨張する泡状の構造(バブル)があること、バブルが恒星の近くで衝撃波面を作って円盤をゆがめていること、そして円盤の一部のガスが衝撃波によって吹き飛ばされていることが明らかになりました。このような膨張するバブルは他の恒星の周辺でも見つかっていましたが、円盤とバブルの衝突が見つかったのは初めてのことです。

--- 以下略。

<ひとこと>: 大判を含む詳細はヘッドラインから。

<出典>: ALMA:国立天文台

 9月3日(水)
1997年と2021年の北極圏永久凍土の範囲

新たに発表された第35回気候状況報告書によれば、気象の危機が深刻化する中で、2024年は過去最高を記録した。ヨーロッパ宇宙機関の気候変動イニシアチブからの土壌の水分、湖面温度、永久凍土、地表温度、成層圏オゾンなどのデータ記録が、報告書の調査結果を裏付けるのに役った。

このアニメーションは、北極の永久凍土の、1997 年と 2021 年の違いを示している。北極の永久凍土には、約17,000億トンの凍結および融解中の炭素が貯蔵されている。人為的な温暖化は、未知の量のこの炭素を大気中に放出し、永久凍土-炭素フィードバックとして総称されるプロセスで気候に影響を与える恐れがある。永久凍土が急速に融解することもあるが、科学者達は、フィードバックループの観点からのこれらの突然の融解が、何を意味するのか分かっていない。

<ひとこと>: イメージのリンク先は動画 .gif です。

<出典>:  Week in images (ESA)

 9月2日(火)
史上、太陽に最も近いイメージ

誰もが太陽を見ている。しかし、誰もそこに行ったことがない。

しかし、2018年から、NASAは、初めて太陽に近い領域を調査するために、ロボットパーカー太陽探査機(PSP)を打上げた。

この注目のタイムラプスビデオは、12月に、その人工の宇宙船が太陽に最も接近し、太陽の高温の表面から太陽の直径の約5倍まで接近して、太陽シールドの背後から横を向いて周回した様子を示している。

探査機の広域画像装置(Wide Field Imager for Solar Probe (WISPR) カメラ)は、これらのイメージを、 7 時間かけて撮影したが、ここでは約 5 秒にデジタル圧縮されている。

コロナ質量放出 (CME) を含め、太陽のコロナが前例のない詳細でここに見ることができ、星が背景の遠くを通過している。

太陽は地球の主要なエネルギー源であるだけでなく、その変化する太陽風は、地球の大気を圧縮し、オーロラを引き起こし、電力網に影響を与え、軌道上の通信衛星に損傷を与える可能性さえもある。

<ひとこと>: イメージのリンク先は、ごく短い動画 .mp4 です。

<出  典>: Astronomy Picture of the Day

 9月1日(月)
北極の上空に宇宙のハリケーン発表される

宇宙のハリケーンは本物である。 ハリケーンシーズンはさらに悪化した。中国の研究者達が宇宙の端に新しい種類の嵐を発見した。彼らはそれを「宇宙のハリケーン(space hurricane)」と呼んでいる。

<イメージの説明>: 宇宙ハリケーンの構造。
最初の既知の例は、2014年8月20日に国防気象衛星(DMSP)のイメージに現れた。荷電粒子の巨大な渦巻きが北極の上空に現れた。静かに回転するそれは、螺旋状の腕とオーロラの光で輝く穏やかな「目」を持つ地球のハリケーンのような形をしていた。この出来事の詳細な研究は、2025年7月号のSpace Weatherに掲載されている。

オーロラに精通したオーロラ追跡者達は、オーロラを捕まえるのに最適な時期は惑星間磁場 (IMF:interplanetary magnetic field) が南に傾いているときであることを知っている。これによって地球の磁気圏に穴が開き、太陽風が侵入できるようになる。我々は惑星間磁場が北に傾いて扉を閉ざす時を無視しがちである。しかしながら、研究によると、それはまさに宇宙のハリケーンが形成される時期である。

宇宙のハリケーンはステルス性があり、従来の宇宙の気象予報の指標がほとんど関心がないことを示しているときに現れる。

予報士達への注意:すべての嵐が太陽から来るわけではない。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Space Weather News


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